子供のころから20年以上、読むたびにうっとりと浸ってしまう漫画があります。
有閑倶楽部と言われても分かる人は少なくなってしまったかもしませんね。
「プライド」の一条ゆかり先生の描いた漫画と言えば分かる人にはわかるかもしれませんが、一条先生と言えば豪華絢爛で華やかな世界を描くのがとてもお上手で少女漫画と言えば一条先生!だと思っているぐらい世界観に引き込まれます。
有閑倶楽部はセレブな高校生たちが通う高校の部活動の名前です。
その名の通り、暇を持て余した優雅な学生が男女3人ずつ集まり結成したもので6人が学園の揉め事に首を突っ込んで解決したり夏休みに旅行した先でホラーな体験をしたりと基本的には1話完結の読み切りスタイルです。
読み切りが単行本19巻分もあるので初期の頃のゲストキャラや敵が再登場したりとストーリー性もあります。
私が一番好きなのはソ連が存在した時代に出てきたキャラがロシアに変わってからも再登場した場面です。
KGBの工作員だった鉄の女・モルダビが主要キャラと敵対して大立ち回りの結果、彼女は敗北し有閑倶楽部のメンバーは事なきを得るのですが数年後に再登場した時は大統領お付の秘書(というよりボディガード)になっていたのも大人になった今に再読すれば面白さが倍増します。
有閑倶楽部の6人の他にも魅力的なキャラは沢山いて、まずそれぞれの親御さんが豪華&面白いのです。
世界有数の財閥の総帥、警視総監、日本画の大家、在日スウェーデン大使、大病院の院長先生、宝石商。
目が眩むような眩い世界でしょう(笑)
ここまでインパクトのある方々ですからキャラも当然立っています。
財閥ともなれば誘拐や汚職・脅迫とも無縁ではありません。
財閥の総帥が人質に取られた時は奥さんがロケットランチャーと手りゅう弾を装備して敵のアジトへ乗り込みましたし、警視総監であるお父さんは事件とあらば最前線に出てきて現場の指揮を取って部下に迷惑がられたりしてます。
とにかく登場人物全員が活き活きしています!
金持ちだからすまして大人しくしているのではなくて「もしお金があったらやってみたい」と私達が思うようなことをやっちゃうんですね。
観てて面白かったクイズ番組を買収して自分も出演したりとアクティブです。
ちなみにこの回で出てくるのが先にご紹介したKGBの工作員です。
どれか1冊でも読んでみたら面白さが伝わると思ってますので、時間がちょっと空いた時にでも試して頂きたいですね。
基本的に単行本1冊の中に2話分が収録されています。1話読み切りスタイルではありますが内容がなかなかに濃いのでページ数は多いです。
でも読むのに疲れないのがこの漫画の凄いところでして、線が細かくて絵がとても綺麗ですしコマ割も見やすくてさすが大御所と言われるだけありますよ一条先生は。
絵が繊細で美しい分、幽霊を書かれるとものすごい迫力なので夏に持ってこいかもしれません。
蛇の呪いで恨みのある家を根絶やしにしようとする女が出てきた回は本当に怖くて物語の舞台と似た田舎に住んでたら夜中にトイレに行けなくなったと思います。
ほかにも大量の人形が動いて階段で待ち構えてるシーンがある回も強烈ですしね。
恋愛要素は少ない漫画ですが「うっとり」「ハラハラ」「わくわく」の要素はふんだんに盛り込まれています。
最後になりましたが登場人物ほぼ全員の名前がお酒からきているのも面白いです。
剣菱、菊正宗、黄桜などの日本酒もありヴォーヌ ロマネなんてフランスのワインの名産地の名前も出てきますので、そこもお楽しみポイントです。
作中のホテルや団体名までお酒にちなんでるという噂もありますので探しながら読むのも面白そうですね!