すごく優しい物語で、大好きな作品です。
優しいイラストのタッチと、物語のやわらかい雰囲気がマッチしています。
読み始めはふっと笑ってしまうシーンも多く、とてもコミカルです。
読み進めていくと、段々と大人になっていく主人公たちの気持ちの変化・環境の変化の悩みや過去への葛藤などに触れていきます。
悩んでいるそれぞれの姿にすごく感情移入してしまいます。
少女漫画でありながら、恋愛だけではなくそれぞれの人生について触れる物語にすごく惹かれました。
ただ、それぞれの恋愛模様も面白く、そのキャラも応援したくなりほほえましさです。
私は森田とはぐの関係が特に気になって呼んでいました。
森田が作った木のブローチを、はぐがさりげなくつけていたり、はぐが、森田と出かけたときに「一緒にいるとごはんもあまり食べれないし、楽しくなかった」と苦しんだり、自分たちの気持ちに段々と気づきはじめた照れくささの混じった微妙な距離感を保っているあたりがとても好きです。
竹本との三角関係も甘酸っぱいです。
そんな三人と対局に、真山、理花さん、あゆ、野宮さんとさんそれぞれの恋愛模様が またシリアスでその差がまた面白かったように思います。
女の人からの連絡が面倒で携帯を海に捨ててしまう一見冷酷な野宮さんが、あゆのことを気にして鳥取から東京へ車で急いで戻っていくところや、理花さんを追って一緒に寝台特急へ乗り込んでしまう真山など、男性陣の真っすぐさがすごくキュンとしました。
シリアスな中に、やはりみんなそれぞれ優しさを持っていてどこか甘酸っぱい真っすぐさがあって好きです。
みんなそれぞれが物語の主人公なんだな、と感じます。
そして最後は、それぞれ結ばれたから幸せ、というかたちでおわりではなく、一緒に幸せを見つけていこう、と模索しながら終わる様子もすごくあたたかい気持ちになりました。
最後に、修ちゃんが大学を去るときに、理花さんと抱きしめあったときに お互い支え合った、男女の友情、という一言では収まらない家族のようなあたたかい関係が伺えるシーンも好きです。
亡くなった旦那さんとの三人の学生時代のシーンも好きだったので、すごく涙しました。
全体的に好きなシーンは、女の子たちの何気ない一コマです。
はぐがほしい洋服や靴などの写真を切り貼りしてノートにまとめているところは、見ていて懐かしい気持ちになります。
女の子は誰もが一度はやったのではないでしょうか。
また、はぐとあゆが、紅茶をいれてのんびり手芸に勤しむシーンにも惹かれました。
物語を通じて日常の何気ない場面を大切に楽しんでいる姿が理想的な姿だと感じました。
コマひとつひとつに小さな発見があり、読み返すたびに面白いです。
好きなキャラクターは、やはりはぐです。
見た目のかわいらしさからは想像もできない、絵を描くことへの想いの強さが大好きです。
来ている服や小物もひとつひとつかわいらしく、ふんわりと優しい雰囲気が良いです。
修ちゃんのために皆で四つ葉のクローバーを探したけれど見つからなくてポロポロ涙したはぐに、修ちゃんが涙をぬぐってあげて「見つからなかった、なんてそんなこと言わないで」と言うシーンも好きです。
そこも最終巻の伏線だったと思うとすごく感慨深いです。
最終回の、「実らなかった恋にも、意味はあった」というシーンは印象に残っています。
恋だけではなく、いろんな物事の経験もすべてそう言える、と伝えているように感じました。
色々なことがありながらも、最後はみんなどこか幸せそうに終わっった姿にすごく救われました。
森田の兄も途中見ていてすごく辛くなりましたらが、最後二人とも笑って幸せそうで良かったです。
すごくおすすめいたします。