フルーツバスケットは、十二支と神様の呪いにかけられた一族の人間たちと両親を亡くした普通の女の子のお話です。
その呪いをかけられた人間たちの気持ちの動き、お互いを想い合う心や、傷ついたこころを癒そうとする透のやさしさにとても癒され、全編通して大好きなのですが、その中でも特に気に入っているのが第六巻です。
この第六巻はその呪いをかけられた十二支たちの仲間にもなることのできない猫の男の子、夾がメインのお話になっています。
猫の呪いにかけられた猫憑きの人間は一族の中でも虐げられ、屋敷の中の一室に隔離され、閉ざされた空間で一生を終える定めにあります。
それは猫憑きの腕には人間の骨と血から作られた数珠がはめてあり、それが外れると異形の化け物に代わってしまうからです。
夾は同じ一族で面倒を見てくれていた「師匠」のおかげで今は外で暮らしていますが、高校卒業とともに屋敷の中に戻る約束になっています。
その外での暮らしの中で夾は主人公の女の子、透と出会います。
はじめのうちは優しい透に絆されていく自分が受け入れられずになかなか打ち解けずにいましたが、それでも少しずつ心を開いていきました。
師匠はそれを見込んで透に夾の真の姿を見せるのですが、それで傷つく夾と、ショックを受けながらもまっすぐ夾を見つめようとする透の姿勢に思わず涙ぐんでしまいます。
つい逃げてしまった夾をボロボロになりながら追いかける透の姿は日ごろのほんわかした姿とギャップがあり、彼女の芯の強さを感じさせてくれます。
夾は追い付いてきた彼女を追い払おうとして鋭い爪で傷つけてしまうのですが、それでも透は逃げることなく夾に向き合い続けて自分の意思を伝えます。
その思いが夾にも通じ、夾はほんのすこしだけ自分の気持ちを吐露して透を抱きしめ、気絶してしまいます。
とっても感動的なシーンなのですが、少女漫画を読んでいる自分は感動とともについ「キャーッ」と赤面してしまいました。
夾は化け物の姿に変身していたために上半身の服が脱げていて、半裸だったので…。
十二支の呪いは異性に抱きしめられると該当の動物に変身してしまうというものなので、気絶した夾を透が抱いて元居た場所まで戻るシーンでは透のやさしさ、包容力が前面に押し出されていて、さきほどまでの年頃の異性の男女のふれあいから母性を感じるものに変わっていて、ドキドキした気持ちが一転、安心感を抱きました。
この作品の前半はギャグパートや軽いジョークが多く、その雰囲気から急にこの巻は核心に触れる真面目なものになっているため初めて読んだときはとても驚きましたが、この話のおかげで一気にフルーツバスケットの世界に引き込まれ、この作品を大好きになりました。