少し古い作品ですが今も輝き続ける名作です。
舞台は1939年ニューヨークからはじまります。
クラブ歌手のキャスリーンとエキゾチックな王国の王子マハティの身分違いの恋。
1巻にしてクライマックス!クライマックスなのね!?
マハティ王子が民族衣装の頭布をとって(それがラギネイという彼の国の風習なんです。)彼女に求婚するシーンは圧巻です。
わくわくきゅんきゅんする。というやつです!
ストーリーに干渉するので細かいことは省きますが結果2人は寄り添う事はありませんでした。
それでも2人の愛の深さを感じられる。それだけぐっとくる導入なんです。
…そして舞台は現代。主人公は花鹿と呼ばれる女性に変わります。美しい銀髪と少しボウイッシュな細身の少女。
…わくわくしますよね。
しかも彼女は世界屈指の財閥のお嬢さんなんです!
何かが始まる予感と共に切れ長の目の中国服の男が現れます。
樹なつみ先生の作品の素晴らしい所に美麗な男性キャラクターがあると思います。
(一目見てこの男性、倣立人(ファン・リーレン)に心を奪われました。ズルいです…)
その男性はファン家という巨大華僑の総帥でありながら花鹿のボディーガードなのです!じゃーん!!!
好きですよね?こういうシュチュエーション大好物ですよね!!??
(私は見守り系。と呼んでいます。大好物です。)
しかも二人は幼馴染のような関係で切っても切れないような絆があるんです。
もう結婚すればいいんです。
~HAPPY END~
とはいかないのです。
花鹿の父親のハリーが突然こんなことを言い出すのです。
「お前の伴侶を探すゲームをしないか。」と。
なんと父親であるハリーが選んだ3人の男性が近いうち花鹿の目の前に現れるというのです。
そんなの気づかないかも。と花鹿。
その時は私の負けでいいよとハリー。でも気づく。君は気づかずにはいられないよ…
その予言通り、惹かれずにはいられないような魅力的な男性が次々と花鹿の前に現れるのです。
(そしてそれを悶えながら見守るリーレン!!こっちが悶えるわ~)
…まあなんというか、乙女の夢。的な内容ですよね(笑)
でもそれだけではないビターな部分も持ち合わせているのがこの作品の魅力でもあります。
初めに出会った男性ユージィンは美しい姿を持ちながら世をはかなんでいます。
2人目に出会ったルマティは高慢ちきで、何者かに命を狙われています。
3人目に出会うカールは閉所恐怖症とPTSDに苦しんでいます。
そんなどこか欠陥をもつ男性達を花鹿は愛し(友愛、的な意味でとっておいてください)そして癒していきます。
不思議な絆を感じる。というか、花鹿が男勝りで浮世離れした性格なせいか不思議とイチャイチャな雰囲気ではないんです。
近年乙女系。といわれるような多人数から好かれる系の作品には違いないですが、なんというかビターなんです。
(ファン・リーレンは初めから花鹿に超絶スイートですが(笑))
そこからさらに物語は大きな流れをもってラギネイ国になだれ込むのです!
1巻で早速クライマックスをもたらしたあの王子の国です!
様々な因縁。様々な思惑が交差した一代スペクタクルなんです!
ラギネイに入ってからも畳みかけるように現れる魅力的な人物達。
物凄い愛憎と企み。そして内戦の勃発したラギネイで花鹿がついに真の愛に気づくのです!
リーレンの見守り愛が報われる時がついにきました!!
…リーレンの健気さに乙女たち(?)はすっかりやられており、ここで二人が心通じたとき、本当に、心から、
リーレンよかったねーーーーー!!!!(涙)
と思ったものです。
その後も苦難は続きますがリーレンと花鹿は心の平穏を手に入れます。
とても2人らしいやり方で。
随分はしょってはいますが、そんなきゅんきゅんわくわくな物語です。
大筋の部分でもあえて伏した部分もあるのでぜひ手に取って読んで、感動を味わって頂きたいです!
余談ですが後日談が花咲ける青少年特別編(全5巻)という形で発売されており、さらに花咲けるの世界を楽しめます。
花咲ける。の完結後、かなり年月が経ってからの発売でしたが、当時の気持ちに戻って花鹿達のその後が楽しめるのでお勧めです。