紅茶王子とは、呼び出した人間のささやかな願い事を三つまで叶えてくれる存在です。
主人公、吉乃の親友、奈緒の三つ目の願いを叶えて、ジョルジは自分の国に帰っていきました。
帰ったジョルジは、アールグレイのもとを訪ねます。アールグレイの元主、奈子の事を報告するためです。
彼の三つ目の願い事が、お腹の中の赤ん坊を助けることであった事もあり、知らせてあげたかったのです。
そうして生まれた杏梨は、生まれつき紅茶王子を見ることが出来るのです。父親が元紅茶王子なので、当然といえば当然なのですが、その事は、形見の指輪のお陰で記憶を取り戻した奈子や、ルフナしか知りません。
しかし、アールグレイは薄々それに気付いていたのです。
紅茶王子が人間になる方法、その代償は、自分以外の全ての者の記憶。
もしかしたら、そうではないかと思える人間が、近くにいたこと。
「僕はたぶん、君のことを知っている。思い出せないだけだよ」
次に会うことがあったら伝えたいという、アールグレイ。私もぜひそういう機会が訪れてほしいと思うのです。
『紅茶王子の姫君』で、奈子が思い出すことができたように。たった一人だけ、記憶が消えなかったルフナのように。
この『桜の花の紅茶王子』にも、懐かしのキャラが次々と出てきていますが、思い出せないまでも、知ってる、と。
記憶になくても覚えている、と言って欲しくて、そういう機会を作者さんが作ってくれる事を願っています。
ずっとアッサムの紅茶王子を呼びたそうとしている健太、大好きです。
さて、他にも気になるのは吉乃とサクラの恋の行方です。
せっかく二人の仲を認めてやろうとする父の思いを無下にしたため、吉乃の護衛の任を解かれ、屋敷からも追い出されたサクラは、奈子の店へとやって来ました。
こちらも記憶はないくせに、アッサムに相談にのって欲しかったようなのですが、うまく切り出せない様子。
しかし、翌日一緒に働いているうちにすっかり打ち解けたようで、記憶をなくす前の関係に戻れたようで、アッサムも嬉しそうでした。
吉乃はサクラが奈子の店にいると健太から聞かされて、ホッとしていました。
しかし、翌日店へ向かおうとしますが、護衛の真垣を振りきることができず、少し距離を置くことに。
果たして、二人の恋の行方は。サクラはアッサムと同じ決断をするのか、できるのか。今後の展開がとても楽しみです。
そして、杏梨は本当にジョルジと再会できるのかも、気になるところです。本編ではやってくれないのかな?