「蒼の封印」は篠原千絵先生の隠れた名作です!
「鬼の長として生まれた運命のヒロイン・蒼子」
普通の女子高生として生活していた主人公・蒼子は実は食人鬼の一族の長と判明し、鬼根絶のため蒼子を消すべく一族の長となった彬と対立しつつも、徐々に禁断の恋に落ちて行くこととなり、葛藤と闘いの中で翻弄されて行くお話です。
篠原千絵先生独特のシビアで残酷なホラー描写とは裏腹に、ヒロインと恋人のロマンチックで運命的な展開には胸がときめきます。
「人間を襲う鬼から人々を守るべく蒼子を殺す運命を背負った彬との切ないラブロマンス」
鬼の長・蒼子を殺す使命を持ってに近づいてきた彬は鬼らしくなく、ごく普通の少女である上に心優しい彼女に段々と惹かれていきます。
やがて深く愛し合うようになり、殺し合わずに共存の道を探るため奔走します。
一族の中で誰よりも高い能力を持ち、聡明で強さと逞しさを持った彬。
様々な危機から蒼子を守る腕に女性は誰しもときめくのではないでしょうか。
「古くから伝わる各地の鬼の伝承をなぞった神秘的な設定」
物語には鬼門、四聖獣、結界、印を結ぶなど、中2心を大いにときめかせる設定とキーワードが豊富です。
各キャラクターが持つ特殊能力など、少女マンガとしてはかなり濃厚なファンタジー設定が練られており、オカルトファンにもたまらない萌え要素が沢山詰まっています。
奈良の古墳、富士山など実在する日本のパワースポットを舞台とする場面もあり、聖地巡礼してみたい!と言うオタク心もしっかり刺激してくれます。
「ロマンチックでときにセクシーな恋愛描写」
蒼子と彬が近づき良い場面になりそう…かと思えば、一転して運命のいたずらで離れてしまったり、絶妙な展開でドキドキ、そして思い切り切なくさせてくれます。
二人のラブシーンは美しく、ギリギリセクシーな描写で、乙女心を充分にときめかせてくれます。
この時に描かれる彬がかっこよすぎて乙女は昇天できます。
彬の他に蒼子に惹かれるイケメンキャラも登場。
二人の間で揺れるヒロインと言う展開もたまりません。
「人間たちの命、鬼たちの命との間で生まれる善悪を超えた葛藤」
蒼子は人間を食人鬼たちの犠牲から守るべく彬とともに鬼の根絶を目指しますが、人間と同じように愛情を持って子供を大事に育んでいく鬼たちにも慈悲を感じ、鬼の長として目覚め始めます。
鬼を根絶させる事が本当に正しい事なのか、しかし人間を食いながら生きる事は許されない事実との葛藤の中で、全ての命を守るための選択に迫られます。
それは愛しい彬との対立、そして永遠の別れ。
蒼子がどのような運命を選択するのか…彬との愛はどうなってしまうのか。
「凛々しく美しく、愛に満ち溢れた魅力的なヒロイン」
篠原先生の描く作品のヒロインの共通の魅力はなんといっても、清廉で優しい心を持ち、なおかつ強く凛々しく美しい女性であることです。
そして単純に善と悪に物事を分けずどんな者にも慈悲深く接する母性に満ち溢れています。
その美しい心から聡明な判断でトラブルを乗り越えていく。
そして人々から厚い人望を受け、味方はもちろん敵さえもヒロインに惹かれていきます。
このキャラクター作りは篠原先生の突出した魅力だと思います。
ヒロインに非の打ち所が一切ない!ので、「蒼の封印」に限らず、他の作品もヒロインに憧れと尊敬を持って物語に入り込むことができます。
他者に対してとても愛情深すぎるため、自己を犠牲にしても、弱い者をを守ろうとする場面が多く胸がグッと切なくなります。
そして自分自身はそんな時どう振る舞うか…考えさせられます。
こんな女性でありたいと心に思うことができ、自分も少し強くなれたような、そんな気持ちにさせてくれます。
女の子のお子様がいる方は、是非お子様にも篠原先生の作品を勧めて頂きたいです。
「蒼の封印」は全11巻と言う多くない長さなので休日に一気に読めます。
30年ほどまえの作品なので作画や時代設定に古さを感じる事は否めませんが、ファンタジー要素が中心なのであまり気になる事はないと思います。
ファンタジーと運命的でロマンチックな恋愛物語に浸りたい時に、是非おすすめの一作です。