「魔法使いの嫁」をご紹介します。
こちらは2017年から2018年にかけて、冬アニメとして、放送もされていました。
恋愛要素も含まれているので、少女マンガだと思います。
とある、不幸な生い立ちの少女が主人公です。
生まれながらに、見えないものが見えるという体質のせいで、いつも邪魔のものあつかいされ、家族もなく、人生にあきらめ、自殺をしようとしていたところに、ある、闇オークションの主催者に声をかけられます。
「自分自身をオークションにかけてみないか?」というのです。
少女がうまれもったその特殊な体質が闇では高値で取引がされているというのです。
自暴自棄になっていた少女は、あっさりとその誘いに乗り、自分自身をオークションにかけてしまいます。
そこで、自分を高値で落札したのが、異型の魔法使いエリアスでした。
エリアスは少女を家族として招きいれ、魔法使いの弟子、そして嫁にすると宣言しました。
あまりに唐突な言葉に呆然とする少女でしたが、エリアスの紳士的な態度、そしてどこか子供のような心にしだいと心をひらいていきます。
エリアスもまた、長い年月をひとりっきりで生きてきた中で、自分自身みつめてくれる少女を必要とし、お互いがなくてはならない存在になっていくのです。
お互いのないものを埋めていくような感じでした。
ここに「恋愛」がはいってくるのかこないのかは、おそらく読み手感じかただと思うのですが、時には恋人のように、時には父と娘、そして母と息子のように感じることができます。
主人公二人なかにいろんな愛の形を感じることができます。
「家族」とはなんなのか問われているような漫画だと思います。
あと、見所は、少女の人生再生です。
いままで、不幸なことばかりで、なにも楽しいことがなかったような人生でした。
ですが、エリアスとの出会いで、安らぎや幸せという気持ちを取りもどしてゆくのです。
その過程が考えさせられるストーリーとなっており、すごく面白いです。
とくに、ネヴィンという恐竜が登場するのですが、かなり深イイことをいいますので、必見です。
毎回といっていいほど、このネヴィンのおかげで道を踏みはずさずにすんでいるように思います。
あとは、エリアスは人の気持ちが理解できないのですが、この少女との出会いで、人の心を学ぼうと努力します。
「美しい」という気持ちをしらないエリアスは美しいとは何かを学ぼうとします。
「さみしい」という気持ちが分からないエリアスはさみしいを「寒い」と表現して少女に伝えます。
その気持ちのやりとりの歯がゆさがなんともいえず、かわいらしくてほっこりします。
まるで、言葉を覚え始めた幼児のようです。
あと、ダークファンタジーな感じなのですが、登場する庭や食事がまるで絵本のように美しく、メルヘンチックなのも素敵です。
これが、ゆったりとしているストーリーとよくあっていて、より物語へひきこまれていきます。
エリアスの奇妙な姿とアンバランスなように感じるのですが、物語が進んでいくうちに、それがすごくあっていることに気づくのです。
このストーリーにこの世界観は最高です。
アニメの音楽もとてもよくて、泣けてきたり、感動したりします。
物語が進むにつれて、少女にいろんな命の危機がせまってくるのですが、不幸な生い立ちがゆえに、自己犠牲をしてしまう主人公にすごくあやうさを感じます。
そして、自分を犠牲にして、誰かの役にたてること、守れることをうれしく思っているのです。
それがまちがっているのか、正しいのかを、周りの人たちが諭してゆきます。
少女にとって、友達や、自分を心配してくれるような人物はいままでいませんでした。
ですが、エリアスとであってからは、たくさんの人に見守られています。
そこのギャップも胸を締め付けられます。
まさにこの漫画のテーマは「人生再生」です。