夕暮れライト、3巻 感想
※ネタバレ注意です※
小学館から9/25に出版された『夕暮れライト』3巻の感想です。
奏多の思いに同情し出したちなみは買い物の帰り道、ばったり奏多を見つけるのです。
いつ声を掛けようかとタイミングをはかっている時に、まるで彼女と帰っていくかのように腕を組んで帰る姿を目撃し、弾かれたように駆け寄り問い詰めます。
再婚してしまう相手を思っているんだと同情しかけたのに、その実、他の女性と親密な関係にいるなんて、と憤慨するちなみ。
そんな信じられない光景を目撃したちなみに、奏多は言うのです。
君にはわからないよ。好きな人に触れたくても触れられない気持ちなんて。
何故か鈍器で殴られたようにちなみを襲う言葉です。
目を反らしてもモヤモヤとしたものは胸中にあって、初めてその言葉の重みを感じました。
好きな人が近くにいて、触れたら幸せな気持ちが広がって、でもそれが許されない思いがあって、どんなに消しても消えなくて、それは一体どんなにツラい事なのか想像しただけで、ちなみには息苦しいことでした。
奏多との約束は「大切な人を傷つけないため」の共有した秘密。
それを何があってもずっと守る、と決意したちなみは奏多に伝えます。
伝える必要があると思ったからです。
貴方だけじゃないのだと、私がいるんだと一人じゃないと、そんな思いの籠った言葉は奏多にも伝わるはずです。
そこから奏多とちなみの距離は徐々に近付きます。
片思い同士だから相手の考えていることも感じていることも手にとるように分かるからです。
傷心のときは一人になりたいけど、誰かと一緒にいたいって思いがあることも知っています。
すべて奏多がちなみに気を掛けてくれたから気付いたことです。
急速に縮まっていく二人の距離感に気付いた雄大はどんな反応を示すのか、和音ちゃんの好きな人は誰なのか気になります。
今作品では奏多くんの表情が変わるからとっても可愛いですし、雰囲気もちなみを気に掛ける姿なんてかっこいいです!