きのう何食べた?、11巻 感想
※ネタバレ注意です※
「きのう何食べた?」11巻は、いつも通りのシロさんとケンジの日常のお話もあれば、シロさんの法律事務所の事務員・志乃さんの新婚ならではのエピソードや、
彼女が変わるたびに料理のレパートリーが増えていくケンジの同僚、タブチくんのお話など、
二人の周りの人たちの生活も少しずつ変わっているんだなぁと思わされるストーリーでした。
紹介される料理も、野菜をふんだんに使った健康的なメニューばかりで、早速真似してみたくなるものばかりです。
特に今回は、ケンジの誕生日祝いにシロさんがスーツと高級レストランでの食事をプレゼントしてくれるお礼に、ケンジが作ったクラムチャウダーとサラダのレシピがとても印象的でした。
どうしてもシロさんの作る料理は和食中心で見ようによっては地味になってしまうのですが、乙女心を忘れないケンジは、サラダにもアボカドや半熟のゆで卵など女心をくすぐる材料を入れてくれます。
シロさんいわく「女子会メニューだ」と言っているのも面白かったです。
また、シロさんとケンジの関係も少しずつ変わっていくのかなぁと思ったエピソードも2つありました。
1つは、シロさんがケンジの健康を考えて食費を上げてまで魚料理を増やそうとするお話です。
「俺にできることはしてやりたい」という心の声に、これから先も長く寄り添っていくつもりなんだろうなと、ほっこりさせられました。
もう1つのエピソードは、とっさの出来事とはいえ、マンションのオーナーさんにケンジとの関係をカミングアウトしてしまう場面です。
これも時代を反映しているのかなぁと思いながら、シロさんのとっさの判断をとても嬉しく思ってしまいました。
そんな日に選んだ食事が、今まで作ったことのなかったレバニラというのも、シロさんの静かな覚悟を感じるようなエピソードでした。