ちはやふる、29巻 感想
※ネタバレ注意です※
全国大会東京都予選もいよいよ決勝リーグ。
宿敵北央との試合も控えていますが、まずは第2戦、冨原西高との対決です。
この先千早の新たな強敵となる可能性を匂わせる速水さんに苦しめられるも、なんとか一勝できました。
しかし次期エース候補の田丸妹はネガティブ思考で調子が出ず・・・。
そんな中、千早は第1戦での教訓を胸に勝ち急がず丁寧なかるたを心がけて、瑞沢を支えます。
そして迎えた北央との対決は、とにかくヒョロくんにスポットが当たっていました。
ヒョロくんがチームに注ぐ愛情、そして彼が受ける信頼。
「ちはやふる」のいいところは、脇キャラの背景や心情をしっかりすくい上げている点ですね。
強さでグイグイ引っ張っていくだけがリーダーではないということがヒョロくんのチームを育てていく経緯から伝わってきます。
そして後輩達がヒョロくんを見つめる視線だけでそのリーダーシップを察する千早。
太一の不在に打ちのめされながらも、これまでのようにただ勢いに任せて勝つのではなく、他の仲間に寄り添いながら一緒に戦おうとしている千早の姿に成長の跡が・・・。
肉まんくんも机くんも3年の意地を見せ、見応えたっぷりの試合となります。
嬉しいことにかるたをしている太一の姿も久しぶりに見ることができました。
周防さんとの練習で、かるたの楽しさに少しずつ目覚めていく太一。
でも、千早がそう覚悟を決めていたように太一は瑞沢かるた部にはもう戻らないのでしょうか・・・。
いずれは新との名人戦という山場を迎えるはずですが、それがこの高3の秋なのか、大学入学以降になるのか?全く先が読めません。
また、現クイーンの詩暢ちゃんも悩み苦しむ姿が描かれます。
慣れないアルバイトまでして自分の力で買った着物でクイーン戦に出たいと思い詰めますが、結局うまく進まず。
最後にお祖母さまから「かるたのプロ」という言葉が出ますが、こちらも一体どのように展開していくのでしょう。
恋愛面での進展はほとんどありませんが、登場人物達それぞれの成長がきめ細かく描かれていて大満足の29巻でした!
何度も読み返し、その度に涙が滲むほどにお気に入りの一冊です。