※ネタバレ注意※
ゼノの持つ特殊な能力と、始まりの黄龍として長い間生きてきた彼の過去が明らかになる18巻。
ゼノは身を挺して敵兵からヨナと仲間達を守ろうとします。
何度刺さされても彼が死ぬことはなく、 受けた傷がすぐに回復していくゼノの様子を見て、仲間達は彼の特殊能力を初めて目の当たりにします。
ゼノの力に恐れをなした敵は撤退していきました。
そしてヨナ達はゼノの不老不死の力を知り、彼が一度も死んでいない、つまり高華国を建国した 緋龍王時代からの四龍の一人、始まりの黄龍であることも知ります。
またゼノはヨナのことを 緋龍王の生まれ変わりであると言い、自分はヨナが現れ、四龍の戦士がまた集結する時を長い間 待ち続けていたのだと告げるのです。
18巻中盤から後半までは、ゼノの回想シーンが続きます。
緋龍王や初代緑龍シュテン、初代白龍グエン、初代青流アビはそれぞれヨナやジェハ、キジャ、 シンアとは外見も性格も異なっていますが、言葉や動作にどこか似通っているものを感じさせます。
四龍の力を合わせて緋龍王と共に高華国を建国したゼノでしたが、やがて時が経ち、緋龍王だけで なく共に戦った仲間達も亡くなってしまい、不老不死のゼノだけがひとり残されてしまいます。
他の四龍は代替わりをしその力を受け継いでいくのにそれができないゼノは、もういない仲間を 思い孤独に打ちひしがれます。
そんなゼノを孤独から救ってくれたのがカヤという少女でした。
彼女は病気を患っていて一人で暮らしていました。
孤独な者同士だった二人は一緒に暮らすようになりやがて結婚しますが、カヤは若くして病死。
再び一人になってしまったゼノは自分だけがずっと生き続けなければならないことに再び苦しみますが、 緋龍王が死んでもなお自分が生き続けている理由は、緋龍王が復活するからではないかということに気づきます。
自分の生きている意味を見出すべく、ゼノは緋龍王の復活を待ち続けようと決意するのです。
18巻はすべてゼノのお話でした。
謎が多く、ほとんど語られていなかったゼノの気持ちをようやく知ることができました。
また、ゼノが旅をしている間にまだ幼いジェハ、キジャ、シンアに会いに行っているエピソードも ありましたが、彼らにそっと声をかけて見守っているゼノの表情が素敵でした。
ゼノがヨナや仲間達 を慈しんでいたのは、彼らと過去に一度会っていたからだとわかり、胸が熱くなりました。
前よりもっとゼノが好きになれるエピソードがたくさんあり、とても読み応えがありました。