Nemuki+(ネムキプラス) 2015年 09 月号 闇の守り人 感想
※ネタバレ注意です※
囚われてしまったバルサは、縛られて馬に乗せられ、都へ向かう、というところから今回は始まります。
ジグロのお兄さん、ユグロに会えるなら、と無駄に叩かれたり嫌がらせを受けるのを我慢していたバルサでしたが、彼らが自分を生かしてユグロのもとに連れていく気がないことが分かると、彼らのところから逃げだすことにしました。
2人組の片方のドムという男が、分かりやすい暴力的で嫌な大男なので、そうだ!逃げろ!と思っちゃいます。
もう片方の、ジグロの甥にあたるカームという青年は、バルサと正面切って戦って殺すべきと考えていたみたいですが、ドムからするとただの育ちのいいお坊ちゃんという感じ。
でも名誉ある死を与えるんだ、とか言ってるあたりは、カームは真っ直ぐな性格の良い青年に見えます。
彼は爽やかだし好印象ですね! バルサには逃げられちゃうけど。
さて、ドムはバルサが手向かって逃げたということにして殺そうと考えていたので、わざと縄をゆるく縛っていました。
おかげで、バルサは簡単に自由になってしまいます。
そして、彼らに手向かうと見せかけて、逃げ出す、と見せかけて、反撃にでます。
ドムには意表をついて結構なダメージを与えますが、それでもカームはバルサと真面目に戦おうとします。
甘い!やっぱり育ちがイイからかしら、とか思っていたら、そのスキを狙ってまだ生きていた(致命傷ではないので死にはしないのですが、もうやられてほしい)ドムが、トガリの毒を塗った槍を投げてきます。
ちょっと!カームに当たったら!とか考えないの??考えません。そういうやつです、ドム。
で、結局バルサに当たって(そりゃバルサに向かって投げているからですが)、バルサは毒を受けてしまいます。
カームを当て身で気絶させて、命からがら逃げだしたバルサは、岩場で力尽きて倒れこみますが、ちょっとの間気絶するだけで、少しすると意識を取り戻しました。
よかった。ぎりぎりで命拾い!
でも回復しているわけではないので、バルサはちょっと弱気になってしまいます。
ユグロのもとへカームやドムたちが連れて行ってくれると思っていた自分の甘さを情けなく思い、権力者であるユグロとの力の差を実感して、自分の小ささが頭をもたげます。
いつも戦ったりしている時には強いバルサですが、体が弱った時にきっといろいろ悩んで生きてきたバルサ自身が顔を出すのかもしれません。
まるでフクロウから逃げる(狩られちゃうから)岩ねずみ・・・と、自分を卑下している時に、岩の上にティティ・ランが現れます。
今夜はオコジョを駆る狩人、つまりオコジョに乗った小人のティティ・ランが狩りをする月夜だったのです。
なんて幻想的!
オコジョは可愛いし、ティティ・ランの持っている提灯もキレイで、本人も美しい! と思っていたら、カナブンを狩って喜んでいるティティ・ランめがけてフクロウが!
小石を投げて、バルサはフクロウを避けてあげます。
さっきまで自分を岩ねずみと重ねていたから、余計助けてあげたくなったんでしょうね。
と、一安心したら、とたんにまた毒のせいでバルサは倒れてしまいますが、そこにティティ・ランが戻ってきます。
ティティ・ランは、狩りの邪魔をすると呪いをかける怖ろしい狩人ですが、命を救ってくれたものにお礼に命を救い返してくれます。
つまり、バルサを助けてくれたのです!
彼女を苦しめている毒の解毒剤を持っているトゥ・カル(牧童たちでした)を呼んでくれました。
気を失っている間にバルサが見た夢は、ジグロの最後の時の夢でした。
自分の歩んだ人生に悔いはないけれど、バルサに大きくて重い影響を残してしまったことを、ジグロは後悔していました。
彼がバルサを連れて旅をして生きてきたことは、彼女の人生に深い呪いのようになって残ってしまい、幼い頃からそれを見ていたジグロは、心配を口に出したのだと思います。
彼女が自身の中に押し込めている強い怒りを、ジグロは解放できませんでしたが、彼女自身でその怒りを乗り越えて、楽になってほしいと願ったことがわかります。
ジグロの最後の言葉を夢でもう一度聞いたバルサは、持て余していた自分の気持ちに整理をつけて、切り替えることができたようでした。
自分が逃げるんじゃなくて、強いものに抵抗していきたいと、バルサは決意します。
最後のコマで、寝ているバルサに当たっている光が、彼女のこの先の明るさを示しているように感じました。
毎回とてもキレイな絵で、魅了してくれる作品ですが、今回はとにかくステキなティティ・ランや最後のコマなどが見どころです!
次回、決意を固めたバルサは、牧童さんたちに助けられて元気になるんでしょうか、そしてどこに行くのでしょうか?
楽しみです!