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昭和元禄落語心中 8巻 雲田 はるこ先生 ※ネタバレ注意※

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昭和元禄落語心中、8巻 感想

※ネタバレ注意です※

 

落語の舞台中に倒れた有楽亭八雲師匠は一命を取り留めましたが、落語をやめると言い出します。

3代目助六こと与太郎は、松田さん、樋口センセイとともに四国の温泉街へ、2代目助六の最後の落語講演の撮影フィルムを見に行きます。

その「芝浜」の名演を見て、与太郎は、2代目助六は落語をやめて妻みよ吉、娘の小夏とともに四国で過ごした数年が本当に幸せだったのだ、と涙を流します。

私としては、助六さんに落語家でいてほしい、落語をすることで幸せでいてほしいと思っているので、少し複雑な気持ちでした。

 

墓参りのあと、松田さんが温泉宿で起こったこと、松田さんが見た助六とみよ吉の死の真相について話します。

それは、八雲師匠から与太郎が聞いていた出来事とは違うものでした。

みよ吉のもたれたベランダの柵が壊れ、落ちたみよ吉を助六が助けようとして二人とも落ちた、と聞いていましたが、

実際は、みよ吉が助六を刺し、それに怒った小夏がみよ吉を責め、叩くうちに柵が壊れてみよ吉が落ち、助けようとした助六も巻き込まれた、という出来事だったのです。

小夏の記憶があいまいだったことから、小夏をかばって八雲師匠は嘘をつき続けてきたのでした。

 

東京に帰ってきた与太郎は、落語小屋の帰りに小夏とバスを待っていると、八雲師匠が橋を渡るのが見えました。

かけつける二人に八雲師匠は「散歩していたら気分が悪くなった」と言いますが、小夏は「死ぬつもりじゃないだろうね」と責めます。

八雲師匠は「アタシは自分じゃ死ねねえお定めのようだ。死のうとしてもみんな邪魔しにくる」と言い、何度も死のうとしたことを明かします。

人の情がまとわりついたままでは、芸の神様にお会いできない。

深い覚悟で落語をする八雲師匠は落語をすることが怖くて引退すると言い出したのでしたが、与太郎は落語なんてやりたくなったらやればいい、いつまでも自分に八つ当たりしてください、と言います。

 

八雲師匠が本音をむき出しにし、かっこ悪い姿を見せ始めたところに、グッとくるものがありました。

どこまでも前向きな与太郎との対比が鮮やかです。


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