※ネタバレ注意です※
天堂家令息・雅人に嫁いだ筈の娘「鳳城蘭」、その娘は偽物でした。
すり替わったのは山奥で一人暮らす娘。
ともに暮らした老人と死に別れ、生きている理由もなかった娘は入れ替わりを望んだのです。
生きては出られないという天堂家へと「人を助けて死にたい」という思いを遂げるために。
最初の十数ページを読み進めていくと、自らの首に刀を突きつける娘の絵があり衝撃的です。
構えるまでは震えるだけだったのに、かまえた瞬間躊躇なく刃を突き刺そうとする・・・。
肝の据わった死にたがり体質のヒロイン。
なんとまぁ!新しいヒロインですね。
そして、天堂家だが、どうしたの?みんな病んでるの?と言いたくなるほどドロドロしています。(笑)
ヒーローは怖いです。
叔母は自分の兄の姿を甥に写してみている上に、近親相姦の気があり、叔父は卑屈で性格が悪い。
・・・大丈夫でしょうか、この家。
というか、どうしましょう、真新しい死にたがり主人公が、霞んでいます・・・。
おかしいな、ヒーローが唯一まともに見えてきたぞ・・・?
うん、これは逃げたくもなりますね。
そして、主人公の娘。
死にたがりなのに体術強いとか、その上爺ちゃんの畑の様子見たいから帰らせてくれとか!
あれ、これ生きるんじゃないの?と思っていたら、まさかの四話目で、ヒーロー、ヒロインの家燃やす・・・です。
もう、あれですね偏愛?妄執?
そんな言葉よりまず貴方は鬼ですかといいたくなります。
娘が位牌を取りに家に飛び込もうとしても後ろから捕まえたままで燃え尽きるのを見せつけるとか。
その上ヒロイン組み敷いて、傷口を確認させたあと「命ひとつしか差し出せるものがないならば、その命で支払え。お前に生きる意味を与えてやる。蘭死ぬときは俺を守って死ね」
エロい鬼ですね・・・、雅人。
ここまで歪んだ人たちが並ぶと、いっそ面白くて手が止まらない作品でした。
最後のおまけページに2話の閑話休題がありますが、横溝正史の犬神家のスケキヨのオマージュと思われる内容があり、知っている人には堪らないネタです。