犬を飼っている人であれば、共感できるというか、自分の愛犬もこういう風に思っていてくれたらいいなーと思うあたたかいマンガです。
この巻では、主人公の郁子と愛犬である雑種のマメタロウの出会いについて描いてあります。
ペットショップで売られていたマメタロウは子犬ですが、プライドがあるので、ひやかしのお客さんには愛想を振りまきません。
でも郁子が来たときだけ、しっぽを振って近づいて行きました。
一目でこの人信用できるってわかったのだと思います。郁子は、抱っこして帰る途中に直感で「この子は、マメタロウだ」と名前を決めてしまいます。
犬と人間にも相性みたいなものはあると思っているのですが、郁子とマメタロウを見ているとそれが確信に思えてくるのです。
ある日、マメタロウは小さいころの自分によく似た愛想のない捨て犬に出会います。
お友達犬のはなことおやつや毛布を運んだりしていると、拾えばタダだし、買えなくなっても損しないと言いながら、女の人が連れていこうとします。
でもマメタロウは、郁ちゃんみたいな人じゃなくてはと、がんばって止めるのです。
マメタロウは自分みたいにこの子にも幸せな生活を送ってほしいと願ったのです。
そんなマメタロウに子犬も初めてしっぽを振ってくれました。
犬は飼い主を選べません。犬の人生は、飼い主次第です。
お友達犬のはなこは紀州犬で、お母さんはドッグショーに出て賞をとる犬たちを産んでいます。
しかし、はなこは、片方の耳が少し小さいから、とそんな理由で、今のお家にもらわれることになりましたが、はなこは、ショーには出られなかったけど、今のおうち大好きだから、よかったなーって思うの、と言うのです。
人が作り出した犬の価値に疑問を感じる場面だと思います。立派な犬とか、血統書とかそういったことにこだわるのは人間だけで、犬と人間が幸せに暮らせれば、きっとそれが双方にとっての幸せで、犬との生活に一番大事なことだと改めて思う印象的なシーンです。
最後には郁子みたいな女の子が雨の中、子犬を迎えに来てくれました。
ずぶ濡れのマメタロウは心配していた郁子に優しく拭かれながら、はなこと子犬を思い浮かべて涙を流します。
捨て犬のいない、どの犬も幸せに暮らせるような世の中になることを願ってしまいました。
犬を飼うことは楽しいこともたくさんありますが、大変なこともたくさんあります。
犬を飼う上での基本的な大事なことが描かれているので、犬を飼いたいと思っている方に読んで欲しいと思います。
どの犬もマメタロウみたいに幸せに暮らしていてほしいです。