知的障害のあるゆずは、事故で亡くなった「草ちゃん」との間に生まれた女の子に「ひまわり」と名付け、家族やケアスタッフさんの力も借りて、懸命に新米母としてがんばっています。いつも笑顔で、幸せそうな描写です。
2巻では主に「教える」ということに関するエピソードで、このレベルでは正直、知的障害者かどうかは関係ないのかな…と私は思っていたのですが、どうしてどうして、結構深刻な壁にぶつかってしまう、ゆずなのです。
まずは、離乳食を取らせるのに奮闘しています。また、いたずらをとがめることができないんです。
娘への愛情は人一倍ながら「しつけ」「教育」というものがあまり理解できないゆずの気持ちは「楽しそうだから」「だって、やってくれないから」止められないんだとか。
強権発動できない学校教諭を思い浮かべてしまいますが、そもそも指示するということが、ゆずにはわからないんですよね。周りの呆れ顔が痛々しいです。
そんなゆずも、亡きひまわりの父「草ちゃん」の形見の「亀」を乱暴に扱われる事は我慢ができなかったようで、親子で大バトルが繰り広げられます。
ただ命あるものだから、というより形見だから、なのがゆずらしいですが。
2人にとって幸せなのは、支援スタッフが理解ある保育園を探してくれたり、家族が母娘双方に助言をしてくれたりする環境だと思います。
しかも、独りよがりでゆずをどうこうしようとはせず、話し合ってゆずの支援をしているんです。
素晴らしいことだと思います。むしろ健常者の夫婦や実家には、こんな環境ないな〜と思い、ちょっと憧れてしまいます。
結局ゆずの状況を理解して受け入れくれる保育園が見つかり、しかも周りの努力もあって、ゆずはひまわりの幸せを自分から考えて入園を決めます。
今時、幼稚園も受験も親が子供の意志を尊重して選ぶなんて難しかったりするのに、むしろ知的障害のあるゆずの方が、一途に娘の笑顔を確認して考えているシーン、うーむと考え込んでしまいます。
このマンガで表されるゆずの障害は、とにかく「一点集中」という感じです。
なくし物をしたら娘のお迎えより探すことだけ、仕事につこうと決めたら職種も考えず一直線。
自立を目指そうと決めたら障害のことは忘れて盛り上がってしまいます。
でもこれって、健常者だって癖として普通にありうる性格ですよね。この一途さをどうすれば有効に前向きに使えるかということを、逆にこのマンガから教わった気がします。
ゆずが母としてどんどん成長していく様子が頼もしいです。