今回は、日渡早紀先生による「ぼくの地球を守って」を紹介したいと思います。
この作品は1986年から94年まで花とゆめにて連載されていたものです。
ちょっとSF要素の入った物語です。
時代は1991年。
描かれた当時の時代なので、少し言い回しなども古かったりします。
主人公は坂口亜梨子(アリス)は、東京へ引っ越してきたばかりの高校生です。
サラリーマンをしている父と、穏やかな母、そして少しシスコンの入った弟・はじめの四人で暮らしています。
彼女の悩みは隣に住む小学生・小林輪(りん)。
亜梨子の気を引くためなのか、幼いいたずらを繰り返していました。
ある日、彼女は学校の中庭へ訪れます。
そこで、クラスメートの小椋迅八と錦織一成が話しているところを目撃してしまいます。
その雰囲気は何やら怪しげで、亜梨子は二人が付き合っているのでは?と思うのでした。
思わず、その場から立ち去ろうとしたところ、二人に気づかれてしまうのでした。
そして、彼らが話していたことは、前世での記憶についてであったと聞かされるのでした。
二人の前世は異星人であり、地球よりもずっと進んだ世界であるということ。
迅八は考古学者のギョク=ランという男性。
一成は古生物学者のエン=ジュという女性。
月の基地で、彼らは地球を見守るように研究を行い、日々を過ごしていたということでした。
彼ら以外にも月の基地には仲間がいるとのことでしたが、二人は他に同じような記憶が持つ人がいるのかということは知らずにいました。
そもそも、二人はお互いに幼い頃から過去の夢を見ており、幼馴染であったことからこの夢の話をするようになったようでした。
そんな二人の話を聞いた亜梨子は、ある日夢を見ます。
夢の中でモク=レンと呼ばれ、地球を見守っているのでした。
傍には浅黒い一人の男性が…。
そのことを迅八と一成に話をすると亜梨子も自分たちの仲間、モク=レンであると気づくのでした。
ここから彼らと前世の因縁が始まってしまったのかもしれません。
その後、彼ら3人は自分たちと同じく過去の記憶を持つ人物たちを探し始めます。
すると、しばらくしてヒイラギ、シュス=ランという人物から連絡が来るのでした。
過去の記憶を持つ5人と、たまたま亜梨子と出かける約束をしていた輪が集まります。
そして、前世での話に花を咲かせるのでしたが、ここで、輪が話に加わるのでした。
なんと輪もまた、前世の記憶を持つ者だったのです。
彼はシウ=カイドウと名乗ります。
他の5人が高校生であるのに対し、自分一人が小学生である理由は一度転生したものの、すぐに交通事故に遭ってしまったためと輪は語ります。
具体的に彼から発せられる前世での記憶。
こうして6人集まったことにより、より一層前世での記憶がよみがえるのでした。
ただ、亜梨子だけは記憶があまりありません。
しかし、亜梨子が部活で歌えば、音楽室の傍にある木々は成長し、また動物園に行くと動物の会話が分かるのでした。
これは、モク=レンの持つ力と全く同じ。
話を詳しくしていない時点で、モク=レンの姿を描いて見せたことなどから、周りの仲間たちはモク=レンだと信じます。
特に亜梨子に対して恋心を持っていた迅八は強く信じていました。
その信じている姿に対して、前世でギョク=ランに心寄せていたエン=ジュの記憶を持つ一成はよく思えずにいます。
また、輪も亜梨子のことをモク=レンだと信じていますが、なぜか迅八のことは快く思っていませんでした。
そして、なぜか輪は蘇った力を使い、東京タワーの設計図を手に入れようと夜の街をかけていくのでした。
果たして輪の目的とは何なのか。
また蘇ってしまった記憶が現世の彼らに及ぼす影響とは。
様々な人物を巻き込み、物語は進んでいきます。
なかなか蘇らなかった亜梨子の前世での記憶がよみがえった時に、物語は一層拍車をかけて進んでいくのでした。
なぜか初めて行った場所なのに懐かしく感じる時があるのは、前世でその場所を訪れたことがあるのかもしれない。
この作品を読むと、全てのことは繋がっていると感じさせてくれます。