白泉社の「かわいいひと」は本当に登場人物たちが可愛すぎて癒されます。
作者は斎藤けん先生。「天堂家物語」、「花の名前」などの作者さんです。
「かわいいひと」の主人公は花園。実家の花屋で働く青年です。
彼は生まれ持ったその目つきから、会う人会う人に怖がられてしまっていました。
そんな中で会ったのは大学生の鈴木日和。ショートカットの彼女は花園の彼女でもあります。
二人が出会ったのは日和の大学です。
学園祭に花を納品しに来た花園。帰ろうと思った時に、車の後ろに華やかな恰好をした日和が座っていました。
ミスコンに無理やりエントリーされた彼女は、本当は見た目で判断するようなことが好きではありませんでした。
そのため当日になって参加したくない気持ちが勝ってしまい、思わず花園の車に潜り込んでしまったのでした。
そんな彼女を励ます花園。その表情に癒される彼女。
そこから日和が花園のいる花屋へ出向くことが多くなり、彼女から告白。
可愛らしい彼女から告白され、喜ぶ花園。告白されたシーンの照れている姿や戸惑っているところがかわいらしい!
また彼女である日和も実際にこんな人がいたら好きになるよなと納得してしまうキャラクターです。
デート中に上の空な花園に対して、お店にあったぬいぐるみを使って「上の空ですよ」と言って見たり。
髪型や洋服なども毎回気合を入れて、花園に会いに行く彼女は本当に彼のことが好きなんだなと思ってしまいます。
こんなほんわかしたカップル、周りにいたら応援したくなってしまいます!
ただ、やっぱり傍から見ると、目つきの怖いお兄さんが可愛い女の子を連れまわしているという印象になってしまうようです。
そのことで花園がかなり心を痛めるシーンも度々出てきます。
家の中で落ち込んだ時には、実の母親もその姿に驚くシーンも。
可愛い日和と一緒にいることで、どんどんマイナスになってしまう時もある花園ですが、それでも日和の彼氏として堂々と立ち振る舞います。
ストーカーのような人に迫られたときも、本当は怖い思いをしながらもきちんと立ち向かいます。
弱いところもあるけれど、男気を出すときにはきちんと出せるところは、日和も読んでいる人も惚れ直してしまいます。
顔は怖いのに、笑顔になると可愛かったり、本当にお花のことを大切にしているところなど、読んでいくうちにどんどん花園の可愛らしい部分を知ることとなります。
最初はたどたどしい部分もあった花園と日和ですが、だんだんとカップルらしくなっていきます。
そんな二人もついにキスをすることとなり…!
キスすることになったいきさつは、花園の家に日和がやってくることになったことから始まります。
母親に何ていえばいいのか分からない花園は、初め友人が来ると嘘をついてしまうのですが、そんなバレてしまう嘘をつく花園も可愛らしいです。
でも、日和が訪れた際に、母親にもバレてしまい、きちんと「彼女」と紹介してくれます。
これは日和も嬉しかっただろうなと想像してしまいますね。
隠されるよりもきちんと紹介してもらえるとすごくうれしいですよね。
母親は花園に彼女ができると思っていなかったので、かなり衝撃を受けていました。
物語の後の方で、お仏壇に向かって報告しているシーンもありました。
それほど母親としても嬉しかったのでしょうね。
目つきは完全に母親似。でも母親は怖い印象がないということは、やっぱり花園が自分に自信がないということが大きいのでしょうね。
それから、前髪を伸ばしていること。
きっと自分の目つきに自信がないから伸ばして隠しているのだと思うのですが、彼が今後自分に自信を持つようになって、見た目もどんどん変わっていくことを望みます。
読むとほっこり、そして頑張れ!と応援したくなるような物語です。