天才で格好良く女の子からモテまくりな入江君と、ドジで勉強の出来ない琴子のラブコメディですがとにかくパワーと夢がもらえるストーリーです。
入江君は浮世離れしたキャラクターですが、作者の多田かおるさんによって実際にはいないけど現実に近い人はひょっとしたらいるかもと思わせてくれる仕上がりになっています。
一方、琴子はとんでもないドジなんですが入江君が好きという気持ちは誰にも負けない女の子で、見ていて気持ち良いし思わず応援したくなってしまいます。
そんな2人ですから最初は当然上手くいきません。
琴子の一方的な片想いでせっかく書いたラブレターも酷い扱いを受けてしまいます。
それに入江君の周りの女性はパーフェクトな人ばかりなので、ここから琴子がどうやって入江君と付き合えるようになるのか最初から目が離せない展開になっています。
そんなイタズラなkissの良い所は入江君と琴子の恋愛物語でありながら、周りのキャラクターたちの独自の物語も進行していくところです。
とくに琴子に思いを寄せていたきんちゃんとクリスの話は主役じゃないのに面白いです。
他にも入江君の家族や琴子の家族、両家の人たちが優しくてこんな家族に囲まれていたらどんなに毎日楽しいだろうと少し羨ましくなってしまいました。
入江君の弟も最初は嫌な奴なんですが、琴子の強引さ故に段々と心を開かざるを得なくなっていく過程が見ごたえがあります。
いたずらなkissは高校編もすごく面白いんですが、社会人編も目が離せません。
通常、少女マンガではキャラクターが高校生でスタートしたら高校生の時点で恋愛が成就し終わることが多いのですが、いたずらなkissは大河ドラマばりにキャラクターの一生を追っていきます。
琴子と付き合う事になった入江君は大学に入学し医者になり、琴子は看護師の学校に行きます。
入江君が医者になるなら看護師になると決めた琴子のパワフルさにまたもや圧倒されてしまいました。
お互いがそれぞれの職に就くことになってからも、色々とストーリーが展開していきます。
医者と看護師という設定を上手く絡めさせる技は、さすが多田かおる先生だと言いたくなります。
いたずらなkissは全部が見どころといっていいほど少女マンガの中でも名作なのですが、その中でも琴子と入江君が二人でお祝いする話が一番好きです。
結婚して大好きな入江君と二人でお祝いすることが嬉しくて仕方ない琴子だったんですが、美容室で変な髪型にさせられたり交通事故に遭遇したりと散々でした。
いかにも琴子らしい展開なのですが、トラブル続きで待ち合わせした場所に遅刻した琴子に駆け寄ってくる入江君が格好良すぎてもう堪りませんでした。
いつも冷静な入江君が琴子のケガを本気で心配したり、眠ってしまった琴子の指に指輪をはめる展開は女子なら誰でもキュンと来ると思います。
また、いたずらなkissは強力なライバルとの対決も見どころです。
入江君を巡って結婚する前も結婚してからもパーフェクトな女性と対決しなければいけないのですが、最後は結局琴子の気持ちに負けるという展開で見ていてすがすがしい気分になります。
ライバルたちも最初は本当に嫌な奴なのですが、最後は琴子に憎まれ口を叩きながらも負けを認めるので読んでいるこちらも琴子と一緒に勝った気になりました。
いたずらなkissは女の子も詰まったストーリーでありながら、ひょっとしたらこんなキャラクターがどこかにいるかもとドキドキさせてくれます。
完結はしているんですが、入江君と琴子の将来をずっと見守っていたいと思わせてくれます。
きっと2人の子どもが生まれたらもっと楽しいんだろうと今でもワクワクをくれるマンガです。