90年代、りぼんにて掲載された少女コミックス。
今でも、読んだ中で一番好きな漫画は?と聞かれたら必ず答える漫画です。
こちらの漫画は小学校編、中学校編と分かれており、小学校編では主人公の”倉田紗南”が荒れているクラスの中心人物”羽山秋人”に向かっていきクラスを正していく話。紗南は幼い頃から芸能界へ身を置いており、学校との両立に勤しんでいました。クラスが荒れていても最初はそこまで関わることなく様子を見ていましたが、羽山が紗南の友人を池に溺れさせている所を目にしそこから物語がスタートします。羽山率いる男子陣と、紗南率いる女子陣でクラスも対立していましたが、ある日紗南は羽山の複雑な家庭事情を目にすることになってしまいます。母は羽山を出産した際に難産で他界し、何かにつけて当たり散らしてくる姉、家庭に無関心な父。心が拗れて当たり前な家庭環境に対し、紗南は心が揺れ始めます。
そして、紗南はそんな羽山を何かと気にかけるようになります。羽山自身もまた、そんな紗南を鬱陶しく思いながらも特別な感情を抱いていることに気づいていきます。
そして舞台は中学校編に移り、羽山と紗南はクラスも別々になり、廊下で会ったら挨拶をする程度で関わりが少なくなっていきました。紗南はすぐに”松井風花”という仲の良い友達ができ、充実した学校生活だったものの紗南はより芸能生活に忙しくなり、学校へあまり来られなくなる日が続きます。また風花は羽山と幼馴染で久しぶりに会い交流が増えていき、風花は羽山の心がまるくなったことで恋心が揺れ始めます。
夏休みに入り、紗南は”水の館”という映画のロケ撮影で遠方の山に籠ることになる。紗南は幽霊の役として演じることになりました。携帯の電波も繋がらないような山奥で1ヶ月ほど撮影に入っり、そこでの生活に慣れたころ、マネージャーに電波が入る所が見つかったと言われ、羽山に電話を掛けたところ、そこで羽山の口から”風花と付き合っている”という衝撃の一言が告げられました。
紗南自身は羽山に対し恋心が無いと思っていましたが、その一言があまりにも衝撃で、”幽霊よりも幽霊らしい”と周囲のスタッフに言われるほどに抜け殻になってしまいました。
そこでのラストが館を燃やすシーンがあるのですが、そこで紗南は生死を分かつ体験をしてしまいます。館から出られなくなってしまい、炎のガスも吸ってしまい死をよぎったものの、”諦めちゃいけない”という気持ちでどうにか館を出られ、最高の演技と称されたのでした。
夏休みが明け、9月。
久しぶりの学校により紗南はかなり行きたくなかったものの、マネージャーに諭され通学。なるべく羽山や風花、周りの友人に合わないようにコソコソしていましたが、風花と久しぶりに会っても以前と何も変わらないトーンで話せたため安心します。
話の中で、今度羽山・風花・紗南ともう一人の中の良い男女5人で遊びにいく約束をし、当日そこで羽山と風花が仲良さ気に歩いているのを見て耐え切れず紗南は走って帰ってしまうのでした。そこで羽山は思わず追いかけていきます。
最終的には紗南と羽山は付き合うことになり、漫画内では語られなかったものの、数年後に発売されたコミックスにて子供も生まれ幸せな家庭が育まれているという描写になっています。上記では書ききれませんでしたが、紗南は中学校生活の仲で人形病(表情が作れなくなる病気)になってしまったり、羽山は同級生に腕を刺され生死を彷徨う状態になってしまったりしました。それらを乗り越え羽山がアメリカにリハビリに行くところで物語は終わるのですが、一人の少女と少年が最初は対立していたものの、お互いにどんどん惹かれあい、また運命のいたずらではぐれてしまったりと、紆余曲折あるところが本当に好きです。少女漫画といえども子供ならではの悩みや、精神的な脆さなども隠すことなく描写する”こどものおもちゃ”は、本当におすすめです。