ぽちゃまに、6巻 感想
※ネタバレ注意です※
高校最後の夏。
勉強合宿に向かう紬ですが、出発直前に檜山くんとのことで田上くんとケンカをしてしまいます。
わだかまりを抱えたまま、お互い連絡を取ることもなく二人はそれぞれの日々を過ごします。
檜山くんへの嫉妬、紬を好きになった本当の理由・・・
弓道に打ち込みながら反芻する田上くん。
合宿を通して紬もまた、檜山くんへの友情と田上くんへの愛情の違いに気付きます。
そしてまみに詰め寄られ、紬への本当の思いを打ち明ける檜山くん。
合宿が終わり、弓道場へ真っ先に向かった紬は、ひとこと「ただいま」と田上くんに告げ、仲直りをするのでした。
ぽっちゃりマニアの田上くんだからこそ、自分を好きになったと思う紬にいら立つ気持ち、わからなくはないです。
檜山くんのような不良が自分を好きになるわけがない、と思う紬の気持ち、よくわかります。
ぽっちゃり体型のせいで、子供の頃からからかいの対象になっていた紬が、ごく自然に自己の容姿に自信をなくし、女性として見られることに鈍感になっていることが彼女の言動から見て取れます。
ですが、田上くんはぽっちゃりしている女性なら誰でもいいわけではないのです。
彼自身もそのことに気づいていく過程がよく顕れていました。
彼が今まで出会ったぽっちゃりな女の子は、誰もが自信なさそうにふるまっていた中、屈託のない明るさと笑顔の紬に出会い、好きになったことを彼自身の気付きによって「体型を凌駕する心の美しさ」という作品の本質を訴えかけているのだと思います。
また、その本質をよく突いているのが檜山くんで、紬の素直さ、まじめさ、怖がらずに自分に見せてくれる笑顔に量らずも癒しを与えられていたのだなぁと思いました。
紬が笑ってくれさえいれば、それでいいと言い切った檜山くんの気持ち、叶わない恋ではあっても紬への感謝の気持ちが見て取れた一瞬でした。
ただ、紬の気持ち自体にブレはなく一貫して「田上くんが好き」ということに変わりはないのですが、田上くんの年下ゆえの嫉妬やらダダこねやらにいささか振り回された印象があります。
体型というコンプレックスをいつの間にか笑顔で押し込めていた紬も、田上くんとのケンカを経て、振り回されることによってそれを乗り越えなければならないのですね。
容易な道ではないかもしれませんが・・・
続きを期待して待っています。楽しみです!