おひとりさま出産、3巻 育児編 感想
※ネタバレ注意です※
主人公のナナオさんは正産期ギリギリの37週1日に突然破水し救急搬送され、緊急帝王切開で無事女の子を出産します。
3巻は出産後からの話になるのですが、ナナオさんは産後翌日(正確には19時間後)から病院のベッドの上で原稿を書き、帝王切開の傷の痛みに耐えながら締め切りに間に合わせています。
この時ナナオさんがミウラに言うセリフが、私にとって最も印象的でした。
「私が何のために日々節約してると思いますか?必要なことに使うためですよ!」
子供を作る前に誰も抱える様々な不安要素に、経済的な不安は最も大きく立ちはだかることと思います。
妊娠してから身重の体で様々なアルバイトをして毎日働き続け、生活を切り詰め一人で必死に出産に備えてきたナナオさんにとって、同室の方達に迷惑をかけてしまうという理由だけで1泊19000円の個室に移ることは並大抵の決断ではないはずです。
ですがナナオさんは何のためらいも迷いもなく個室に移りました。
それは「私がどんなに節約してもケチらない2つのこと。それは人づきあいと仕事。人に不快な思いをさせてまでするのは、ただのケチ!」というナナオさんの強い信念からです。
私はナナオさんのこのセリフを見た時に、ナナオさんの母親として生きる覚悟を感じ取りました。
それまでのナナオさんがここまできたのは「なんとかなる」の精神が大きかったように思います。
もちろんナナオさんの努力は素晴らしいし、見ていて応援もしたくもなりました。
だけど頭の片隅にそういった心配があるまま3巻まで読み進め、とうとう産まれたときに「大丈夫かな・・・」と見ていて不安な気持ちになりました。
それだけ引き込まれていた証拠ですね。
これまでナナオさんから感じていた「なんとかなる」や「案ずるより産むが易し」の精神は子供を産み育てる前のご両親達、特に母親になる前の女性達の背中を押してくれる言葉でもあるのは事実でしょう。
ですがこの言葉を成立させるには親側の根底に、何としても子供を立派に育ててみせる!そのためにはなんでもする!という強い信念と覚悟が必要ですよね。
その強い信念と覚悟を、3巻でのこのセリフから感じ取ることができました。
そして同時に「人に不快な思いをさせない」という人として1番大切なものも未来ちゃんにしっかり伝えていける人だろうなと感じました。
今は心から応援しています!ぜひ4巻に続いて欲しいです。
こちらのすてきな作品を通して、まだまだ見守らせていただきたいと思ってしまいました。