君に届け、26巻 感想
※ネタバレ注意です※
26巻は、初めてケンカした爽子と風早が、お互いにこのままではダメだ!と思いつつも、タイミングが合わず仲直りを失敗するという場面から始まります。
ケンカにしても、「言いたいことを言えるようになっていていいと思う」と、爽子はあやねに言われます。
今までは相手のことを考え、思っていることを口に出来なかったこともある爽子が、思ったことを言っても大丈夫だという信頼関係を、風早のみならず、あやね、千鶴、くるみ、各々との間でも構築し、成り立たせているのです。
爽子は「本当に行きたかったら教育大に行く。だけど離れたくない気持ちも否定しないで欲しい」と風早に伝え、
風早も自分が理由となって教育大を諦めるのは爽子らしくない「黒沼は俺の憧れだから」と、思っていたことをお互いに伝え、理解し、また絆が深まります。
爽子と風早は、相手を思うあまり見ていてじれったくなることも多いのですが、今回は二人とも本音をぶつけあっていて、今までの関係から大きく前進したように感じました。
そして、今回の巻では爽子とくるみとの関係が丁寧に描かれています。
爽子の家で勉強合宿をする爽子とくるみ。
くるみは、教師になりたいかもわからないけど、教師になることで、「自分のことを、認められるんじゃないかって」と爽子に言います。
また、夕食時に爽子の母にどんな子が好きかと聞かれ、「自分と真逆な人」「まっすぐなひとがすき」と答えました。
くるみの自己肯定感が低い様子が伺えます。
くるみは、爽子がまっすぐで、「いつもうらやましくてむかついた」と言います。
そしてずっと抱えていた、爽子に対する罪悪感を「あの時はごめんなさい」と謝罪します。
くるみは、爽子とあやねと千鶴の友人関係を壊すために、嘘の噂を流したことがありました。
くるみがやったことを爽子は知っていたし、既にくるみを許していたのですが、くるみは過去にそんなことをした自分を友達とは言えない、一生忘れない、と泣くのです・・・。
けれど爽子は言います。
「あの時ちづちゃんが言ってた。友達は気づいたらなってるんだって言ってた!」と。
この言葉には、思わず涙がこぼれました「君に届け」は、キュンキュンさせてくれる恋愛漫画であると同時に、友情についてもしっかり濃く描かれているからこそ、生きる台詞だと思います。
くるみは帰り際に、「わたしと教育大に行こうよ!」と言います。
風早の言葉や、くるみの言葉などが爽子を後押しして、教育大に進むという道を選ぶ布石の一つだろうと感じました。
26巻の後半では、爽子と千鶴とあやねの3人で話している時に、あやねは自分の何気ない一言で、ピンが好きだと突然自覚します。
今までたくさん伏線が貼られてきましたが、ついに・・・!
恥じらうあやねがとても可愛らしいです。
自分から人を好きになったことがなく、初めて感じる恋心に戸惑いながらも、ピンにもらったのど飴を大切そうにぎゅっと握りしめる姿は、好きという気持ちに溢れています!
爽子の進路がどう決着するのか、あやねとピンの今後は・・・?と、今後もストーリーの続きが楽しみだと思わせてくれる巻でした。
27巻が待ち遠しいです!