ちはやふる 30巻 感想
※ネタバレ注意です※
『本物になりたい』
それぞれの思いを胸に、創設から三年目を迎えた瑞沢高校かるた部は全国大会への切符を手に入れ決戦の日に向けて特訓を重ねていました。
後輩を引っ張り、育て、自分たち三年がいなくなった後のかるた部を強いまま残せるように、札の配列表の添削や感想戦を丁寧にこなすようになった千早。
辞めてしまった太一の抜けた穴は大きいが、それを感じさせない程にお互いをフォローし合い、助け合うかるた部メンバーのチーム力は決戦前に日毎強くなっていく様子が見られます。
全国大会の会場では、初めて参加する一年、橋立、原、波田を予選リーグで出場させ、次の年のスタメンをリスクを負いながらも育てる程、かるたの強豪校にしたいという去りゆく三年の思いの強さを感じました。
決勝トーナメントへ進み、予選トーナメントにも出してもらえず自信を失っていた田丸は調子を取り戻して自分のかるたが出来るようになり、瑞沢に大事な一勝を勝ち取ります。
いよいよベスト4に進んだ瑞沢高校はライバル富士崎高校と準決勝で当たり、対戦相手の実力が拮抗していてお互いに大苦戦を強いられますがそれまでの辛い練習、勝ちたい、本物になりたいという熱い想いを胸に一枚一枚と札を取りにいくのです。
太一の代わりにキャプテンになった千早の精神の成長っぷりには驚かされるばかりで、まるで太一がそこにいるかのような安心感があります。
自分が勝てばいいというかるたをするのではなく、チーム皆で強くなりたいという思いが、急いで勝たない丁寧なかるたをさせ、チームメイトをよく見てフォローする、心強さを感じられました。
ライバル校富士崎高校では桜沢先生の進退に関する噂話があるのと、桜沢先生が元気がないために、部員全員がなんだか不調という状態でしたが、桜沢先生のライバル猪熊遥の出産が無事に終わると決勝リーグ一回戦勝利も「順当」と切り捨てる桜沢先生に切り替わってそれにつられて部員のモチベーションが上がるという状態になります。
空気を読まない千早が結婚の噂に関して追求すると「顧問は辞めないけれども、結婚はする」との事で、そのお相手が誰なのか気になって仕方がありません。
初めて涙を見せた桜沢先生にグッときました。
千早の対戦相手になった富士崎高校のヨロシコは何故髪を巻いた方が調子がいいのか、こればかりは謎すぎますね。
一方、かるた部を去った太一は周防名人のテレビ収録に同行します。
企画の変更で追加で参加することになった若宮クイーンとも対戦することになりました。
意味のあるものにしたい、とこちらも全国大会や鳥人間コンテストを蹴って、自分がかるたをする為の道を作り、強くなるために必死にもがいている姿が見ると「太一も頑張ってるよ」と思わず瑞沢高校のメンバーに伝えたくなります。
そばにはいないけど、かるたがあれば繋がっている気がする、そう感じさせられて胸が熱くなりました。