とりかえ・ばや、8巻 感想
※ネタバレ注意です※
右大将、沙羅双樹として男の格好で出仕する睡蓮と、睡蓮として女の格好で東宮の側に仕えはじめる姉の沙羅双樹。
同僚の三の姫が帝への愛情を露わにしたことで沙羅双樹は胸の傷みを覚えますが、まだそれがどんな気持ちであるか気づいていません。
東宮は、睡蓮が沙羅双樹として四の姫と仲直りしそうだという噂を聞き、気が気ではありません。
右大臣はせっかく婿となった沙羅双樹を手放したくはないため、沙羅双樹と睡蓮の父、左大臣に沙羅双樹(現在は睡蓮)を説得するよう持ちかけます。
左大臣はそもそも女の沙羅双樹と男の睡蓮が入れ替わり、そのことを隠して女同士で結婚することになってしまった四の姫にたいへん同情しており、睡蓮に仲直りをするかきっぱり離縁するか決めるようにと諭します。
このお父さんは実に理解があってすばらしいと思います!
沙羅双樹の友人でありながら四の姫に子供を生ませた石蕗(つわぶき)は、沙羅双樹と睡蓮が入れ替わり直したのも知らず、沙羅双樹が実は女で、復縁などできるはずがないと四の姫に伝えようとしますが、
気の多くあてにならない石蕗に、四の姫は二度と来るなと宣言し、子供にも会わせないときっぱり追い返します。
8巻までの石蕗への溜まりに溜まった溜飲がここでようやく下がりました。はあーすっきり!
訪れた睡蓮に三の姫は涙ながらに謝罪をしますが、実際は初対面の睡蓮、石蕗と夫婦になることを勧めます。
けれども二人の娘の将来を考えた四の姫は何が何でも右大将という超エリートである睡蓮と復縁する気でなんと押し倒すという強行手段に。
とっさに東宮の顔がよぎった睡蓮は他に好きな人がいると打ち明けます。
すると姫は正直に子供のためだけに形だけの夫婦であることを提案し、それによりむしろ石蕗への強い思いを感じた睡蓮はそれを了承します。
あんなに流されっぱなしだった四の姫も強くなったなあ・・・と妙な感慨が。
石蕗と浮気した姫ですが、なんだか応援したくなりました。
あてにならないイケメンの石蕗だけど、姫はどうしようもなく好きなのね・・・。
船上での月見の会が開かれ、帝が東宮を訪ねて来、お供をしてきた睡蓮は東宮に「よりを戻されてなにより」と言われ深く傷つきます。
めそめそする睡蓮・・・かわいいです。
その時、船が揺れ、沙羅双樹は帝に抱きとめられます。
その様子で沙羅双樹も帝が好きだと悟った三の姫はさっぱりとライバル宣言。
そして五節の舞姫として帝の前で舞うことを決めた三の姫に、正々堂々勝負をつけようと舞姫対決を持ちかける沙羅双樹。
この宣言に喜ぶ三の姫のきっぷの良さがいいです!
けれども本番当日、沙羅双樹は欠席し、勝ちを譲られた三の姫は泣いて悔しがります。
一度子供を流産している沙羅双樹は帝の女御になっても子供が産めないかもしれないと危惧していました。
この時代はお世継ぎがなにより大事なので、理性的に考える沙羅双樹らしい決断。
でもきっとこれは自分への言い訳なのだろうなあと思うと心が傷みます・・・。
ところがなんと、帝自ら沙羅双樹の屋敷へ訪ねてきてしまいます!
逃げ場のなくなった沙羅双樹はとっさに自分は子供が産めないと嘘をつき、東宮を守る仕事に専念することで帝に仕えます、と拒みます。
ここですっと下がってしまう帝。
複雑な思いの沙羅双樹。
しかし、後日仕事で帝に文を届けると、帝がなんと裸足のまま追いかけてきて宣言します。
「そなたを他の男にはやらぬ。縁組は許さぬ。覚悟して東宮をお守りせよ!」
シビれますね、かっこいい!!!
ここまで石蕗にひどい目に合わされまくっている沙羅双樹をぜひ幸せにしてあげてー!と思わずにはいられません。
熱を出した東宮が父のいる別邸へ静養に行くことになり、元気のない東宮のために警備の薄い別邸にいる今なら!と睡蓮を手引きしようとする沙羅双樹。
しかし忍んで来た睡蓮は警護の兵に捕まってしまう――といったまた絶妙に気になるところで次巻へ続きました。
毎回のことながら、怒涛の展開にやきもきしっぱなしで、続きが待ちきれません・・・!