矢沢あい先生の作品が子供の頃から大好きです。どの作品も主人公が様々な経験をして、苦しい時も負けずに笑顔で頑張って乗り切る。そんなところに勇気をもらいました。
高校、専門学校など学校生活を通して、友情や恋愛模様を多く描いてきた矢沢先生の作品ですが、私の一番のお気に入りの作品は、今までとは少し違った形になっています。
現在は休刊中ですがNANAという作品は、全く違う人生を歩んできた同じ名前の二人の少女が、上京して出会いともに生活をしていきます。
一人は、天真爛漫で後先考えず思いのままに行動して失敗を重ね、それでも前向きに生きていく姿を、もう一人は、過酷な人生を歩んできたおかげでまともに生きていく術を身に着け、着実に前へ進んでいく、そんな二人が出会い一緒に過ごしていくことで大きく成長をしていくお話だと私は思っています。
私が特に好きなのは、主人公の一人、小松奈々ちゃんです。人見知りしない性格で、気になる人には躊躇なく向かって友達になってしまいます。
もう一人の主人公大崎ナナちゃんとの出会いも上京する新幹線の中で偶然隣の席に座り同じ名前、上京する途中である事から意気投合して仲良くなります。
その後二人は、別れますが同じマンションを見に来たことで再会をし、一緒に暮らすことになります。
新しい生活、出会いを経て上京した事に大きく夢を膨らませます。
しかし楽しい日々も恋人の裏切りにより終わってしまします。
落ち込む奈々ちゃんを支えたのは、ナナの存在と大好きなバンドのライブです。
そして、恋多き人生を歩んできた彼女は新たな恋と出会います。
今度こそ平穏な日々が待っているはずでしたが、彼女には大きな転機が訪れます。
大ファンであるバンドメンバーと出会い妊娠してしまうのです。
誰にも言えない秘密を抱え、誤解されたまま大切な友人たちと決別してしまいます。そのシーンでは、涙が止まりませんでした。
もう一人のナナも自分の生活の一部になっていた、奈々ちゃんとの別れに大きなダメージを受けます。
強がって見せても本当は弱い彼女はそばで自分を支えてくれる存在であった彼女が必要だったのです。
物語にはもう一つ大きな展開があります。それは、ナナがボーカルを務めるバンドがメジャーデビューをしてトップスターのバンドと肩を並べるほどに成長していく事です。
どちらのバンドも地元が同じで友人同士が多く、深い関りを持っています。
奈々ちゃんの結婚相手もバンドのメンバーでナナの旦那さんもそのバンドのメンバーという少し複雑な人間模様になっています。
それぞれのバンドが、仕事や人間関係、恋愛模様に悩み崩壊の一途を辿りそうなところで物語は止まっています。
ナナの旦那さんでライバルバンドメンバーであるレンが交通事故で死亡してしまいます。
失意のナナを奈々ちゃんが救い出すことが出来るのか?それぞれのバンドは一体どうなってしまうのか、休刊になって9年ほど経ちますが、今でもこの先がどうなってしまうのかとても気になり、連載がまた開始されるのを心待ちにしています。
何度も読み返していますが、先の展開は分かっているのに初めて読んだように毎回ハラハラドキドキします。
どの物語も幸せな結末で終わってほしいと思いますが、恋人が死んでしまったナナには幸せな結末などもう残っていないのでは?一体どうなってしまうのだろうか?立ち直ることなんて出来るの?と毎回最後の巻を読み終えると考えてしまいます。
この先続きが読める日が来るのかは分かりません。でも矢沢あい先生の体調が良くなって、NANAの続きを読みたいと多くのファンが願っています。
何年かかってもいいのでいつか続きを書いてお話を終わらせて頂けたらと思います。