イタズラなKissは多田かおるさんによる作品です。
まず、この作品は未完だということを伝えておきます。
作者の多田さんが亡くなってしまったので、続きが描かれることはありません。
ただものすごく素敵な作品なので多くの人に知ってもらいたいです。
■物語
主人公は相沢琴子。
勉強は苦手な高校生です。
彼女には片思いの相手がいました。
それは入学式の際に新入生代表として挨拶した入江直樹。
琴子とは反対の性格で、成績も優秀で尚且つハンサム。
ちょっと冷たい部分を持っていますが、そんな彼に琴子は入学以来片思いしています。
高校三年となり、話すこともできなかった琴子ですが、告白しようと決意します。
しかし、入江は琴子が渡したラブレターも受け取らず、「頭の悪い女は嫌だ」と振ってしまいます。
がっくりと肩をおろす琴子に災難は続きます。
なんと新築で立てたばかりの家が地震で倒壊!
父親の重雄は中学時代の大親友を頼り、彼の家で親子二人で居候することとなります。
父親の大親友という人物ですが、なんとそれは琴子をふった入江直樹の父親だったのでした。
家が建て直すまでという約束のもと片思いをしていた相手と暮らすことになってしまうのでした。
■主人公の琴子が可愛い!
勉強もできず、ドジでミスも多い琴子。
しかし、彼女の周りにはいつもたくさんの友人で溢れています。
おせっかいな部分もあり、カップルのキューピッド役になったりということもありました。
入江直樹の恋敵とも物語が進んでいくうちになぜか友達になってしまっていたり。
不思議な魅力が彼女にはあります。
また、負けず嫌いで、どんなことも乗り越えようという気持ちが強く、一度振られてしまっている入江にもたびたびアタックしていきます。
そんな彼女の魅力が次第に伝わり、入江とも両想いに!
彼女の恋が報われたとき、読んでいる方も嬉しくなってしまいました。
■サブキャラクターも魅力的
長年琴子に対して恋心を抱く幼馴染・池沢金之助。
入江を勝手にライバル視したり、鉄砲水のような部分がありますが、琴子を傍で見守り、よき相談相手にもなってくれる存在です。
最初はコメディー担当だなと思っていましたが、純粋に琴子のことを思う気持ちは読んでいて切なくなる時もあります。
また、入江直樹の弟の祐樹。
彼は天才型の兄と比べられてしまいがちなのですが、努力を重ねて実力を磨いていきます。
どちらかというと琴子の気持ちもわからなくないという部分を持っているので、はじめは大好きな兄に寄ってくる琴子のことを嫌っていましたが、だんだんと和解していきます。
はじめの頃に琴子の観察日記をつけたりしていましたが、観察している中で、兄の直樹が琴子にキスをする瞬間を見てしまったり。
兄の気持ちも早く知ることとなります。
■報われないと思っていても好き
本当にこの作品を読んでいると胸が締め付けられる思いになります。
一途に思いを寄せていても、全然振り向いてくれない相手。
琴子ももう好きでいるのを辞めると宣言したことがありました。
全く気持ちがこちらを向いてくれていないと思うと、苦しくなりますよね。
誰しも身に覚えがある経験だと思います。
好きな人が振り向いてくれない。
こんなにつらいことないですよね。
でも、琴子の場合、ついに気持ちが実る結果となります。
二人が結ばれたとき、本当に感動しました。
■まとめ
誰しも片思いの経験があると思います。
相手が振り向いてくれない、気持ちに気づいてもくれない。など。
様々な悩みを持つこととなります。
この作品を読んでいると、もう少し頑張ろうかな、もう少し勇気を出そうかなと思うことができます。
思い続けることが疲れた時や恋愛に疲れた時に読んでほしいです。