地味な29歳の独身OLが主人公のラブコメです。
主人公は妄想癖があり、いつでもどこでも自分の世界にどっぷり入ってしまいます。
まず始めに、とにかくこの主人公の妄想がめちゃくちゃ面白いくて、なんともほほえましいのが見所のひとつです！
そして、通常であれば妄想は自分だけの楽しみですが、このマンガは違います。
主人公に恋するイケメンエリート君は、「人のココロが読める」特殊能力があり、主人公が妄想する世界を覗いたことをきっかけに、どんどん主人公に魅了されていきます。
またイケメンエリート君の妹弟達も皆、「人のココロが読める」特殊能力を持っており、相手のココロが読み取れるが故に恋愛や職場でツラい思いをしたり、ココロが読み取れることを後ろめたく思ったりと、様々な人物の苦悩が描かれていて、「もし、自分だったら…」と、読み手も色々と考えさせられます。
人に知られたくない気持ちや、腹黒い考えが溢れる「ココロの中の世界」は、見えてしまう側の彼らからすると、傷つくことも多く、なるべく見ないように努力していたりします。
しかし、主人公の「ココロの中の世界」はとても優しく、誰も傷つけないバカげたくだらない妄想で溢れていて、くだらなすぎて爆笑してしまいます。
イケメンエリート君も、今まで見てきた欲にまみれた女の子達のココロの中とは全く違う主人公のピュアさに惹かれるのですが、読んでいるこちら側も主人公の絶妙なキャラクターに惹かれていきます。
悲しみや怒りをも、くだらない妄想に置き換えて消化する主人公の「悪のない人柄」は読んでいてとっても癒されます。
また、主人公は妄想が暴走してしまいがちで、イケメンエリート君と数日会っていないだけで妄想が暴走し、妄想の中だけで恋が終わりを迎え、そして妄想に引きづられる様に現実でも突然自分から別れを告げると言う、とっぴょうしもないことが起こるのも読んでいて楽しいです。
特に、個人的に大爆笑なのが、5巻に収録されている妄想「ありがたう お姉さま」‼これは絶対に声を出して笑ってしまいます。他にも面白い妄想が散りばめられていますので、ラブコメ好きにはピッタリなマンガだと思います。
そしてもうひとつ、このマンガの大きなテーマは「ココロを読める相手と恋愛できるか」です。
例えば、プレゼントをもらったあなたが口では「ありがとう」と言っていても「ホントは好みじゃないな」と思ってしまったり、彼の職場にいる可愛い女の子と彼が2人で歩いているのを見て焼きもちを焼く気持ちや、彼に触れたい、キスしたいなんて思う気持ち、更には、理不尽な上司にイライラして「あいつなんか八つ裂きにされちまえー」なんてブチ切れる気持ち全てが、恋人に分かってしまうのです。
どうですか？私は…好きな気持ちが大事かなっと思いますが、なかなか受け入れるのに時間がかかりますよね。
また、マンガの中ではこの「ココロが読み取れる特殊能力」は恋人に対してだけでなく、周りにいる人全員に対してなので、親友であろうと家族であろうと気持ちが筒抜け状態なのです。
それぞれのキャラクターが、恋愛や友情など人との関わりの中で、自分の特殊能力を相手に打ち明けるべきかを悩み、それぞれの方法で解決しようと頑張っているのも、とても興味深く、切ない気持ちになったり応援したい気持ちになったりします。
人との関わりは誰しも身近にあるテーマなので、特殊能力があるキャラクターとはいえ、読んでいてとても感情移入しやすく楽しめるマンガだと思います。
主人公のココロの清らかさに癒され、綺麗な絵に癒され、くだらない妄想で笑い、友情・恋愛に大切なものは何かに気づかされる、盛りだくさんな内容のので、6巻で終わるのが残念なくらい面白いです。
最後は、なんとなく続きがありそうな終わり方の様に思えたので、いつか続編が出ることを期待しています。
