群青にサイレン、1巻 感想
※ネタバレ注意です※
主人公の修二は同い年の空に劣等感を抱えながら生きる高校一年生です。
若いうちは自分の周りの世界だけが全てのように思えることも多いと思いますが、修二はそんな中で苦しんでいるように感じました。
一言で言うと暗いです!自分でも認めているのではっきり言いました(笑)
そしてこれまた書き下ろし(?)のイラストで自分で言っていますが、主人公タイプの少年ではありません。
優しいところもありますが、つい体が動いたり、「仕方ないな」といった感じで極々普通の男の子のように感じます。
私としてはかなり新鮮な野球を題材にしたお話の主人公でした。
小学5年生で出会ったときに修二が空を野球に誘います。
このときの修二は明るく野球が大好き!と言った感じで、空は修二に誘ってもらったことがとても嬉しいことがわかります。
しかし勉強も運動もモテるのも、それまでクラスでいちばんだった修二を軽々超え、最も奪われたくないと思っていた野球クラブのピッチャーの座につく空に対して、修二は敗北感を感じます。
空は引っ越し、修二は野球を辞めてしまいました。
ですが、高校の入学式で空と再会した修二はまた野球をすると決めました。
修二の身長は178センチ、空の身長は157センチ
今ならコイツに勝てる、そう思ったからです。
修二の劣等感をまるで知らない空が少々気の毒に感じるシーンがたくさんありました。
空は修二と野球がやりたいという理由で、親の反対を押し切り帰って来たというのですから尚更です・・・。
1巻後半では初の試合がありますが、ピンチを救ったのは修二ではなく、空でした。
身体は小さいけど制球力とカーブで、試合の流れを変えた空。
チームに活気が出たのは、間違いなく空のおかげです。
純粋で気が強いところもある空は主人公みたいな男の子。
奪われてばかりだと思いこんだり、失敗して自分を嫌いになっていく修二より、輝いてみえます。
だけど、共感できるのは修二なんです。
この人には負けたくないという気持ち、勝ちたいのに勝てない悔しさ、大事な場面で目の前がぼやける感覚・・・
一切感じない人はいないと思います。
妬ましい、羨ましい、だけどやめない。
1巻ラストでそんな修二を見れたことは、よかったと思います。
しかし最後の最後で驚きの展開がきました。
修二がキャッチャーに選ばれ空とバッテリーを組むよう監督に言われるのです。
監督はどういうつもりで修二をキャッチャーに選んだのかが非常に気になります。
修二の劣等感を見抜いた上での決断でしょうか。
何か考えはあるのだと思います。
爽やかな漫画の中でライバルというのは、互いに高め合う素晴らしい仲間として描かれることがありますが、実際は修二のように妬ましく思うことが多いのではないでしょうか。
同じポジションで争っていくのが吉と出るか凶と出るかなんて、分からないことですよね。
監督はこのままピッチャーを続けても修二がダメになるだけだと思ったのかな、なんて想像しました。
修二には酷な話かもしれませんが・・・。
2巻では実際に二人はバッテリーを組むことになるのか、楽しみに待ってます。