星空のカラス、8巻 感想
※ネタバレ注意です※
プロ試験も終盤、葉月との対戦を前に鷺坂総司に告白をした和歌。
「プロになって、俺を振り向かせてみろ」の言葉を胸に葉月との戦いが始まります。
はじめから試合の流れは葉月という苦しい対局の中、持ち前のひらめきで何とか葉月に勝利、そしてお互いプロになり再戦の約束を交わしたのでした。
一方、いつも盤外で暗躍している「しをり」は周りを巻き込んで重大な事実を暴露します。
それは「和歌は故、鷺坂名人の孫」という、和歌は勿論、総司すら知らなかった碁界を揺るがすスキャンダル。
記者や棋院の友人からも「名人の孫」と言う目で見られて戸惑う和歌ですが、母親から聞く祖父の話、葉月の言葉で祖父や総司との関係に答えを見つけます。
怒りをバネに「しをり」との対局に勝利、たった2人のプロ入段枠を手に入れるのでした。
プロになった報告と、告白の返事を聞きに急いで総司の家に向かいますが、途中総司の母に遭遇「名人の孫は奪わせない。総司に関わらないで」と拒絶されてしまいます。
「もう会っちゃいけない」と思いそのまま家に帰ってしまう和歌・・・、その出来事から2年。
総司に会う事はないまま和歌は女流名人になるまでに成長していました。
秘めた思いを隠しながらひたすら総司の居る上を目指して走り続け、遂に対戦の機会が巡ってきました。
トーナメントを勝ち続けついに明日は対局の日。
そんな対局を楽しみにしていた和歌ですが、交通事故にあい病院に搬送されてしまうのでした。
対局は絶望的だと思われたその時、2年ぶりに総司が目の前に現れます。
「行くか」と病院から連れ出し、たった二人盤上の闘いが始まるのです。
ダメを承知で告白した和歌が総司に「自分が始めて好きになった人が貴方だと知っていて」と伝える所から始まりました。
時折ふと大人な事を言う和歌のピュアな想い、綺麗な初恋の感じが出ていて私はすごく好きなシーンです。
総司も満更じゃないのに「プロになって振り向かせてみろ」と伝えます。
もう、早くくっ付いて~!と最初は思いましたが、まさか祖父が同じという、後の衝撃的事実の為にはこの答えが妥当だったのでしょう。
当事者達が知らなかった真実にショックを受けて母親に真実を聞き出します。
こちらの話もなかなか・・・ 家族はたまったもんじゃありませんね。
でも、和歌と総司の血が繋がった親戚とかではなく安心しました。
そんなスキャンダルな心理戦にも負けず、たった二枠のプロの座をつかんだ和歌は格好良かったです!
その後、総司の母親に色々言われて2年間も会わず過ごすことになります。
たまにチラッと総司の母親が出てきますが、ちょっと自分勝手な人のイメージでした。
和歌の家が本当の家族なのになんでそんなことを言うのかと・・・。
でも、血のつながりがある和歌の家と違い、自分たちには囲碁でしかつながる事が出来ず、唯一才能があった総司だけが自分達とを繋げてくれる存在だと思えば、和歌は総司の心をかき乱す邪魔な人間になるのでしょうか・・・。
しかし、血の繋がりがある和歌の家も、血こそ繋がっているものの、ほかには何もなく、唯一諦めずに和歌が家族を繋げている生活だったのです。
もっと早く家族同士が話し合っていたらこんなにややこしい事にはならなかったのに・・・と思ってしまいますね・・・。
そしてついに試合で再会問い時に、車に撥ねられる和歌。
衝撃の展開にハラハラしました!!!
思いのほか軽傷だったものの、対局はドクターストップが言い渡されます。
病院で泣き続ける和歌の元へ2年ぶりに総司が現れました。
2年ぶりの再会で急に「和歌」って名前呼びは狡いです・・・!
本人に向かっては多分初めてだったのではないでしょうか。
「お前が囲碁をやっていて良かった。置いて行かずにすむ」と総司が和歌に言います。
和歌の祖父は倒れた妻を置いて対局へ向かい、和歌は倒れた母親のために対局を棄権したエピソードがありました。
このセリフは二人で一緒に歩いて行けると言う意味にも取れて、何ともキュンとなります!
このまま二人が幸せになってくれることを願います。
そして、番外ですが、和歌の従妹のりっちゃんとレッスンプロの飯塚さんが結婚したのが個人的にとても嬉しかったです!