艶漢、10巻 感想
※ネタバレ注意です※
待ちに待った艶漢の最新刊です!
とうとう史郎が帰郷することを決意し、「組」へ踏み入ろうとしますが、なんとそこに巡査殿・光路郎も史郎のあとを追ってやってきました。
もちろん、史郎は生きては帰れないと言って光路郎を帰そうとしますが、光路郎は「史郎と生きる覚悟ならある」と言います。
「組」の中に侵入する二人。
これまでイマイチ謎だった兄弟制度についても明らかになり、安里と史郎の絆の意味なども分かってきます。
そしてクモとタヌキという新キャラも登場。
この二人とひと悶着ありますが、これからも絡んでいくのかは少し謎なところです。
このあたりの見どころは史郎の戦闘シーンですね。
史郎の一筋縄ではいかない性格が垣間見えます。
ふだんゆるっとした史郎も好きですが、男らしい史郎を見る事が出来て眼福でした!
カッコいい史郎のシーンを見たい方は必見です。
さらに話は進んでいき、今度は梅ノ助という新キャラも出てきます。
六口に強い憧れを持ち、安里に嫉妬とコンプレックスを抱くようになる梅ノ助。
自身の延命のために妹分を殺してしまうことになります。
彼を通して「組」での生活がいかに過酷でむごいものか、覇人の宿命がどれほど重いものかが分かりました。
覇人の住む「組」の中でも地位の低い「下座」でのシーンが多いため、巻全体を通して暗い雰囲気が漂います。
表紙からして、これまでの巻と色合いが違いましたね。
お話し自体は相変わらずギャグをちょっと挟んだりしますが、梅ノ助のお話しなど悲惨なシーンもあります・・・。
今回は事件簿的なお話しはありませんが、人の薄暗い内面を探るような描写はありますので、そこが事件簿的な話に通じるような気がします。
そして、相変わらず絵が本当に緻密で美麗です!
もう絵を眺めているだけでも満足してしまいそうなほど。
10巻はこれまでの巻と少しテイストが変わったような気もしますが、『艶漢』ファンなら皆きっと満足すると思います!