ぶっこん ~明治不可視議モノ語り~ 感想
※ネタバレ注意です※
全4話で終わってしまったのがもったいない作品です!
主人公はもちろん、主要な登場人物たちがみんな元気に動きまわって、物語も作り込まれており、ハラハラ・ドキドキ・ニヤニヤ、ぜーんぶ味わえて、読んだ後とても心温まる、素敵なお話でした。
舞台は明治、剣術道場の当主である父が死んでしまい、一人娘のあやりが道場を守るために奮闘します。
第一話では、実は父をも殺めていた叔父から命を狙われるのですが、 なんとか父の形見の刀を持って叔父の手を逃れた先で、修繕屋の天助という青年と出会います。
修繕屋というのは壊れつつあるモノの魂(ぶっこん)=付喪神を修復し、そのモノ自体もなおすという仕事。
天助にはこのぶっこんが生き物の姿で見えており、会話して悩みを聞きながら修繕することができるわけです。
最初は天助を疑っていたあやりも、古びたメガネをかけるとモノの魂が見え、話せるようになります。
その「眼鏡さん」にも協力してもらって、あやりと天助はあやりの父の形見の刀や、見合い相手の許嫁だった女性の忘れ形見など、壊れてしまう寸前のモノが晴ればれとした最後を迎えられるように手助けしたりするのです。
あやりが叔父と対決したりピンチを助けてもらったりしてるうちに、あやりは天助に恋心を抱くようになるのですが、天助は相当な鈍ちん。
だからこそ、やきもきするあやりがカワイイ!
というか、恋の前段階でもじもじしてるような二人、どっちもカワイイです!!!
最後は何やら恐ろしげな武器商人にさらわれ、天助は「古びた銃を治さないとあやりを傷つける」と脅されるのですが、 その銃のぶっこん達に協力してもらって大団円!
禍根を残さずスッキリ終わって、完全なるハッピーエンドを味わいたい私には嬉しいばかり。
作中全部に言えることなんですが、背景、特に修繕屋の店内の様子や小物など、とても細く書き込まれてあって、このお話の世界観の中に浸らせてくれます。
生き物の形をしたぶっこんもそれぞれ個性があって楽しめました。
けれど一番の魅力は何と言っても、あやりです!
まっすぐな性格で、苦しい思いをしている人やモノを見捨てない女の子。
感情移入しちゃってるので恋の行方も気になりました。
これ以降の話も読んでみたかったと思えるくらいの素晴らしい作品です!