7SEEDS、31巻 感想
※ネタバレ注意です※
地下水の流入を食い止めるためには、川の入り口を塞いでいる瓦礫をどかさなければなりません。
しかし、水に潜った刈田は水棲の巨大蜘蛛に襲われてしまいました。
お蘭達に合流した源五郎と茜が、自身の命も顧みず水に潜って刈田を助けたものの、速くなった水の流れのせいで、お蘭達は命綱のロープで三人を引き上げられません。
早くしないと溺死してしまう、そう思った時、虹子が水車にロープをくくりつけ、その力で三人を引き上げて事なきを得たのでした。
一方、要の気配を感じて追いかけていた安居達は見覚えのある洞窟にやって来ました。
まさか、まさか、安居と涼、二人は洞窟を見回し、忘れられない過去を思い出します。
座り込む要を見つけた涼は、洞窟の奥に信じられないものを見ました。
「来るな!安居!見るな!」
ソレを見てすべてを悟った涼が安居を制止します。
けれど安居は見てしまいました。
洞窟の奥、染み出した水が溜まるその中に、自分がかつて死なせてしまった茂が横たわっているのを・・・。
茂の死体は蝋化したため、長い時を経て、なお当時の姿を保っていたのです。
今いるこの佐渡の土地こそが、彼らが生まれ育ち、そして大勢の仲間を失った故郷だったのです。
「放っておいたのか!あのまま!ここに!」
茂の遺体を放っておいたことに憤る安居は要に掴みかかりました。
両者ナイフを手に相手を攻撃せんとしたその時、嵐が要の腕を押さえつけ安居を蹴り飛ばして止めに入ったのです。
激情が収まらない安居は嵐と押し問答になりますが、同行していた新巻の言葉によって冷静さを取り戻したのでした。
一部始終を通信で聴いていた夏のAメンバーは各々過去を振り返ります。
彼らは故郷に帰って来たのだから――。
テンポよく物語が進みどんどん読めると思いきや、要所要所の間や余韻が素晴らしく、じっくり読んでしまいます。
登場人物達がみんな魅力的でそれぞれの色があり、誰が主人公でもおかしくない。
とても読みごたえのあるお話です。