魔法使いの嫁、5巻 感想
※ネタバレ注意です※
チセは妖精リャナン・シーの助けを呼ぶ声に応え、急いでジョエルの家へと駆けつけます。
そこで見たジョエルは心臓こそは動いているものの、ベッドに横たわったまま意識はなく、とても危ない状態であることがチセでも認識できました。
そして、後から現れたエリアスは、ジョエルの命が残りわずかであることをチセ達に告げます。
せめて、命を助けることが出来ないのであれば、普通の人間であるジョエルに妖精であるリャナン・シーの姿を見せてあげたいとチセは思い、その一心で、チセは妖精の塗り薬を作ります。
失敗と苦労を重ねながらもジョエルの命が尽きる前に薬は無事に完成し、二人を引き合わせることにもチセは成功しますが、その代償として、無理を強いた身体は作り出した魔法の大きさに耐え切れず、瀕死の状態に陥ってしまいました。
人間の世界よりも妖精の国の方がチセの身体の負担は少なく、また人間の医者に見せても意味が無い為、エリアスとチセ、そして使い魔のルツは、一度は拒んだ妖精の国へと自ら足を踏み入れます。
チセはとても人間らしい感情を持つ普通の少女と変化していく一方で、ケガや困難が絶えない状況が、とても大変そうです。
今回は、まさか死んでしまうことはないだろうとは思っていましたが、それでもかなりの重傷を負ってしまい、とても可哀そうに思えてなりませんでした。
今まで閉じた世界にいたチセにとって、外の人間や妖精と関わり合いを持つことは、喜びや嬉しさと一緒に痛みも伴わざるを得ません。
仕方がないとは思いつつも、私たちの日常も同じだなあとしみじみ実感させられました。
今回は、あまり可愛らしい新しい妖精が出てこなかったのが少し寂しく思いましたが、代わりのチセとエリアスのキスシーンやシルキーの生い立ち話などがあり、ほんわかしたシーンも十分に堪能できます。