艶漢、9巻 感想
※ネタバレ注意です※
舞台化も決定して絶好調の『艶漢』の第9巻です!
画集を2冊出している作者さんの決めゴマは流石と言うより他ありません。
少女漫画然とした繊細で細い線が、主人公の詩郎初め 女性キャラクターたちを艶やかに魅せてくれます。
作者さんの作り出す日本と中国の入り混じったような世界観はまるで夢のようで、 現実を忘れられるまさに少女漫画の世界!
掲載誌「WINGS」で数年看板を背負い続けているのも納得の、
夢に溢れる少女漫画世界です!
主人公の詩郎と彼を放っておけない警察官・光路朗が事件を解決していきます。
事件の行方、犯人は誰なのか?推理するのも楽しいですが、他の推理モノと違うのは 殆どの事件で作者が女性の汚い感情(嫉妬、妬み、羨望・・・色々とありますね)を、明けっ広げにそれはもう厭らしく書くことです。
下卑た感情が耽美な絵で紡がれる不一致がまた美しいです。
最新刊の9巻ではいよいよ詩郎の婚約者(と思われる人物)が登場します。
詩郎が「本気で愛そうとしたたった一人の娘・・・」と呟く彼女は本当に詩郎の想い人なのか、 また彼を放っておけない詩朗の相棒・光路朗はどうなるのかどうするのか?
新キャラクターとして南部女子部隊の羅ら子、深森の女の子二人も登場します。
二人は詩朗を組に連れ戻すため、詩朗の兄・安里が放った戦闘人形使いです。
鷹匠の連れている鷹のように彼女たちは戦闘人形を操るのですが、そのデザインがまた 作者さん独特のデザインセンスに溢れていて本当に素敵です。
そして勿論、人形使いである彼女たち二人もとってもチャーミングなんです!
刺客ではありますが、まだまだ子供に見える中学生ほどの女子。
戦闘人形を操るなんて聞くと冷徹そうな怖いイメージがあると思うのですが、全然そんなことはなく終始ギャグパートになっています。
赤のセーラー服を翻し奮闘する彼女たちのコミカルなパートも見物ですよ!
カバー裏の漫画も有り、また巻末のおまけ漫画も14ページの大盤振る舞いで 大変楽しい、そして勿論完璧にキレイな作品でした。