大奥、12巻 感想
※ネタバレ注意です※
とうとう医療編が完結です。
11代将軍家斉が黒木の元に訪ねてきて、最初は楽天的に構えていたものが段々と決意を固くしていき、ついに赤面疱瘡を撲滅させるに至る頃にはむしろ意固地になってしまう。
その切なさや、そんな上意に翻弄されながらもワクチン接種を推し進める黒木や伊兵衛たちの活躍も、どこを取っても目が離せない展開でした。
一方で江戸城の女たちの争いも複雑に絡み合い、家斉の母治済の不思議な(というか不気味な)権力への執着もついに終焉を迎えることに。
我が子を毒殺された御台所とお志賀の方の復讐劇が繰り広げられ、江戸城内での毒殺文化(?)が形作られた原因とされることになるのですが、結局治済は一命を取り留めるものの、最後まで母の救命を頼む家斉と御台所との決定的な亀裂も見ていて切ないです。
それにしても家斉の子供が55人いたことは歴史にそんなに詳しくなくとも知っていましたが、成人したのは半数程度だったというのは知りませんでした。
ストーリーの主軸としては、ついにあの業病が撲滅されるという展開のはずなのに、そこに絡む人間ドラマがどれも悲劇で、この複雑な絡み合いが、読んでいても「よく作るなぁ」と感心させられます。
もう一ついつもこの作品で楽しみにしているのが料理のシーンなのですが、今回はあまりなくて残念!(でもウナギは相変わらず美味しそう!)
次に期待しちゃいます!
はじめはこの作品、どこまで続くんだろう?と思っていましたが、とうとう赤面疱瘡が撲滅して、主テーマにケリがついてしまいました。
が、引き続き、家定(これがまた女将軍のようで・・・)が即位して、黒船がやってきて・・・。
そろそろ幕末にさしかかろうというところまできてしまいました。
この先どんな展開になるのか、医療編が終わったことでさらに気になって止まらなくなってしまいます!