ラブファンタジーの金字塔、何年経っても色褪せない名作という言葉が過言でないほどの名作です。
渡瀬悠宇先生の作品はどれも面白いですが、やはりふしぎ遊戯が一番の代表作だと思います。
美朱と鬼宿のお互いを強く想いながらも、現実世界と本の世界の中の住人であるという絶対にいっしょになることができないという状況でも2人で乗り越えようとする姿に何度も何度も心打たれます。
美朱の、どんな状況であっても鬼宿以外の男性に心動くところがなく、天真爛漫で素直な性格がとても好感度が高く、読んでいて本当に応援したくなります。
また、作中に出てくる男性キャラクターがみんなかっこよく、でも全員がつらい過去に悩んでおり、その分人間味あふれる個性があり…と登場人物全員が素敵です。
その中でも一番かっこいいのは鬼宿だと思います。ふしぎ遊戯は魅力的なキャラクターが多いので、星宿派や翼宿派や柳宿派もかなり多いのですが、やはり私は鬼宿が一番です。
おそらく、幼い頃にふしぎ遊戯を読んだ女子のほとんどが初恋は鬼宿!と言うと思います。
美朱への一途な気持ちはもちろん、いつでも体を張って助けてくれたり、ピンチに駆けつけてくれるヒーローらしいかっこよさもありますが、年頃の男の子らしく美朱のことが好きで好きで堪らないけれど手は出せない葛藤など見ていて本当にかっこよくて可愛くて、たくさんの魅力が詰まっているヒーローだと思います。
絵柄も少女漫画らしい繊細で綺麗なので、読んでいて男性キャラクターのかっこよさがより際立ちます。
好きな話は、鬼宿が蠱毒を飲まされ、青龍側の傀儡となってしまう回です。
鬼宿を想い続ける美朱の健気さと、鬼宿のことを想い続けていると知りながらも、それでもいいから振り向いて欲しいという星宿の一途な気持ち、そして、蠱毒を飲みながらも自我を取り戻し、美朱の元に戻ってきた鬼宿の愛に本当に感動します。
全員がお互いに対して切ない気持ちややりきれない思いを抱えながらも、前向きに生きている姿が読んでいてとても感動します。
またこの回以外でも何度も2人の仲は引き裂かれそうになりますが、お互いの気持ちが離れることはなく、その描写が切なくて悲しくて愛おしくて、本当に渡瀬先生の話の展開はドキドキしながらも話に引き込まれます。
周りから反対されながらも、2人の関係が手遅れになる前に離れた方がいい、と言われたときに言った鬼宿の「もう、手遅れだよ」というシーンが本当に好きです。コマ割りの仕方も鬼宿の切ない表情も最高です。
敵側である青龍の心宿もずっと心に深い闇を抱えており、敵側のキャラクターも全員本当の悪者ではないところもこの漫画の面白さだと思います。
どんな人間でも完全悪は存在しないことをこの漫画は伝えてくれます。
2部では、現代に転生した美朱と鬼宿との話になりますが、1部ではあまり出てこなかった翼宿や他のキャラクターにもクローズアップされます。2部では、美朱と鬼宿はとても関係が進んでいくので、1部とはまた違った面白さがあります。
また、作中はコメディタッチな場面もありそこも面白く好きです。
どんなにつらいことがあっても逆境があっても最後にはハッピーエンドなので、読んでいて気持ちいいです。
ふしぎ遊戯の本編の朱雀青龍編の他に、玄武開伝の方もかなり面白いです。
こちらは、朱雀青龍編よりも恋愛要素は薄くなりますが、とても感動します。
朱雀青龍の作中でも、玄武と白虎の話も少し出て来るので、そことリンクさせながら読むとより一層作品を楽しむことができると思います。
この作品は、何回読み返しても、美朱と鬼宿にドキドキし、また何回も読み返したくなります。
大人でも子どもでも世代など関係なく誰もが面白いと思える名作だと思います。