リョウは上田倫子先生作、マーガレットコミックで連載していた少女漫画です。
主人公のりょうは普通の女子高生として生きてきたのですが、修学旅行で京都に行き、その時弁慶と名乗る男に襲われそうになります。最初から物語が展開しドキドキします。
弁慶と名乗る男はりょうを源義経と勘違いして襲ったのですが、りょうはなんと過去からきた義経でした。女の子なのに義経というのも面白いです。
義経は幼い頃に母と引き離されるとき、女の子だと平家に嫁がされ取り入れられてしまうので男の子として寺に預けられたのでした。それも母の愛だったのでしょう。
本当の歴史なのかなと思ってしまいそうですがフィクションです。
弁慶は女の子とわかってからも義経だと確信し、家来になりたいと申し出るのです。
りょうはそんな弁慶に惹かれていくのですが、年上の容姿端麗な男の人が家来になりたいと健気にそばにいてくれたら女の子はきゅんきゅんしてしまいます。
なぜ弁慶と義経が現代にタイムスリップしているのかというのも不思議なんですが、蔵馬の山の裂け目が富士山の樹海の裂け目と繋がっているという設定でした。
裂け目に飛び込んで過去に戻って話が展開していきます。
義経が女の子というだけあって話は恋愛のストーリーです。登場人物が魅力的でひとりひとりのサブストーリーができるんじゃないかというくらい作りこまれています。
この作品の中で義経と弁慶と三角関係になる平維盛がいるのですが、維盛はとても優しく女性なら維盛を応援したくなると思います。顔立ちもきれいな美少年なので今で言うジャニーズのようなアイドル的存在です。私は維盛派なのでずっと応援していました。
維盛は争いを嫌い源氏と平家の戦いなんて本当はしたくないのです。そういう人物って当時にもいたのではないかと思いました。いつも笛を奏でりょうのことを想い儚い恋をしているので幸せになって欲しいなと読み進めるうちにファンになる人も多かったと思います。
このお話はりょうと弁慶の他にも過去に一緒に行ってしまった人物がいました。幼馴染の葵と弁慶の元恋人の虎子さんです。この二人は現代から過去に行ったにも関わらずすごい順応力でお話のキーをけっこうにぎっています。なんでも便利な現代から鎌倉時代にタイムスリップして知っている人も誰もいない不安な中なのにそれぞれの魅力で生きていて憧れました。虎子さんに関しては過去の時代で子供まで生んでしまうのでたくましい女性です。歴史を変えてしまわないのかと勝手な心配をしてしまいました。
この二人もりょうや弁慶のことを大切に想っているからこそついてきたのですがそれぞれの想いが交差して切ない想いもします。こんなに自分以外の人のことを大事思って自分を犠牲にできるのかなと考えさせられました。
ベースは義経と弁慶の話ですから源氏が平家を倒すというストーリーは軸にあります。その中で女の子のりょうがどうやって戦い平家を滅亡させるのか最後まで楽しく読みすすめられました。もちろん義経ときたらお兄さんの頼朝も出てきます。歴史が好きな人なら歴史通りにすすんでいくところとりょうが女の子としてまわりの男の人とどう関わっていくかということが見所になって面白いと思います。
弁慶との恋愛は進んでいるようで進まない焦れったいところがあります。すれ違いもあり全13巻という壮大なストーリーなのでお話の中では何年も経っているのではないかと思います。今の時間の感覚と昔の時間の感覚って違うのかなと思いながら読みました。四季を感じたり風情があるのかもしれません。
読んでいるとこの世界に入り込んでいくような自分も過去に行って歴史を見ているように感じました。最後は驚きの展開になりましたがすごく心打たれました。また歴史を勉強し直したくなりました。ドラマ化しても面白いんじゃないかなと個人的には思います。
リョウ 全13巻 感想
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