群青にサイレン、6巻 感想
※ネタバレ注意です※
涙する修二から始まった6巻、心が折れそうになりながらも 空のツラさにも理解を示そうとしていることが意外でした。
“ひいき”だったということに感情がグチャグチャになったはずなのに すぐ冷静さを取り戻していて、それが逆に 哀しく感じます・・・。
一方で あの場で静かに泣いていた空、うずくまる空を見つけて 励ましてくれた蓜島監督は、良い監督である前に 良い先生なんだろうなぁ、なんて思いました。
一人で泣いて 冷静になっていた修二と、監督の前で 盛大に泣き始める空、この違いが興味深くもあった気がします。
野球をやる意味を見失った 修二のもとへ来てくれた、角々谷が そうしてくれたように、何も聞かないでくれることを求める修二は、もし この場合で監督に何かを言われても 心に響かなかったかもしれないな・・・という気が。
お母さんと“あの時”の話をできたことも、今の修二にはプラスにならないの・・・?って不安になってしまいました。
でも そんなことはなくて良かったです。
修二の夢の中に 少年野球時代の監督が出てきたのは、修二が過去と しっかり向き合い始めた証拠なのかな、と思います。
空も 野球部とピッチャーを続ける気持ちに切り替え、無事に二回戦も勝利。
淡々と野球を続ける2人の前に、三回戦の相手校の監督として 少年野球時代の駒野監督が現れたことは、結果として 修二の過去の暗い部分を一つ消化させてくれたでしょうか。
この時の空が どんな感情で三回戦の試合に臨んだのか、ということは分かりませんが・・・。
修二と違い 動揺することなく投げて打っていた空、駒野監督の方が 空の名前が出て動揺していたくらいでしたね。
心理描写が主で 野球シーンは控えめなところが、やっぱり少年誌などの野球漫画とは別物だな、と感じます。
とはいえ4回戦の丈陽戦は、試合の流れも重要な展開ですね。
丈陽全体のレベルの高さ、元気になった釘崎の速球、そして 空のカーブが守屋には通用しないこと。
勝つための手段としてフォアボールにした修二の判断を攻めるのではく、「せめて二人で、話し合ってから決めたかった・・・・・・!」という空の言葉が とても切ないです・・・。
しかし、空の本音が出たことは バッテリーとしての成長に繋がってくれそう?
空を責める気持ちと同時に、自分を責める気持ちも 現状を否定する気持ちもある修二は、野球をやる意味を見つけられずにいたけれど ここから“みんな ただ勝ちたい”という気持ちを一番に考えていける気がします。
バッテリーが重要なことも分かっていて、バッテリーとは何なのか?という答えは ふたりじゃなきゃ見つけられないことも分かっていて、その上で「次は、絶対あの人を抑えるぞ」と言って 空を見る修二の顔は、今までと違いましたからね!
7巻に続く丈陽戦、一体どうなっていくのか とても楽しみです。