菜の花の彼ナノカノカレ 14巻ネタバレ注意

投稿日：2017年10月10日更新日：2019年5月3日

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菜の花の彼ナノカノカレ、14巻 ( 完結 )　感想

※ネタバレ注意です※

ついに再会した菜乃花と隼太、しかし菜乃花は目の前にいる人が“隼太くん”だと知っても、隼太のことを思い出すことはありませんでした。

隼太は海外で火事に巻き込まれた少女を助け、その時に喉の熱傷で声をつぶしてしまい、菜乃花の記憶を戻す鍵である「声」を失っていたのです。

菜乃花は今鷹人を好きなことも知った隼太は「さよなら」を告げ、隼太に会っても記憶が戻らなかったことを、安堵する菜乃花と鷹人。

しかし、鷹人と会った隼太は強い感情を隠さず言います。

「これから先、あなたには絶対耐えられない苦痛に耐え続けて、綾瀬さんを幸せにするのは、俺だ」

鷹人の合格を祝うため張り切っていた菜乃花ですが、隼太に会ったことでやはり心に変化が表れていました。

昔の彼氏へのわだかまりは“それほどまでには好きになれなかったんだ”と思って忘れてほしい、その隼太の言葉に気持ちが軽くなる反面、同じだけ怒り狂ってるような想いが燃えて苦しくなる菜乃花――――

自分の中に残る何かに邪魔をされる菜乃花は、鷹人にお願いをするのです。

「キスして、もうぜんぶ今、鷹人くんのものにして」

菜乃花に求められるまま自分のものにしても、それはまた菜乃花を殺そうとすることだと気づき、鷹人は思い留まります。

そして菜乃花の記憶を戻すと決心し、鷹人は病院にいる桜治に会いにいきました。

隼太に似た声で隼太が菜乃花に言いそうな言葉を、菜乃花に聞かせることで思い出させようとするも、桜治に気づかれ計画は失敗――――

菜乃花は桜治の言葉に乗せられ、屋上に向かってしまうのです。

「もっと単純に考えられない？　「記憶を失った時と同じように、もう一度飛び降りたら記憶が戻るかもしれない」　って」

飛び降りようとする菜乃花を止めるため追いかける鷹人の目の前に、隼太が現れます。

元彼女の言葉で自分の間違いに気づき、正直になろうとする隼太もまた、2年前に桜治がもっていってしまった菜乃花に戻ってきてもらうため、桜治に会おうとしていたのでした。

菜乃花を追い、今度こそ落ちる菜乃花の手を自分が掴みたいと思う鷹人――――

しかし鷹人の口から出たのは、隼太に菜乃花を追いかけさせる言葉です。

「隼太！　菜乃花は上だ飛び降りれば記憶が戻ると思ってる、さっさと行け！　早く！」

菜乃花の手を掴む役目を隼太に譲り、そして菜乃花を放すよう伝えて桜治の心を動かした、鷹人がとても格好良い最終話でした。

ついに記憶を取り戻した菜乃花と、ついに菜乃花の手を掴んで引き上げることができた隼太が、幸せになって終わるハッピーエンドだったけれど、主役は鷹人だったと言えるのではないでしょうか。

記憶が戻った菜乃花とはほぼ会うこともなく去った鷹人が切なかったけれど、最後に鷹人から隼太にかけた言葉で、鷹人の心情がよく分かり、鷹人の恋心にも救いはちゃんとあることが嬉しかったです。

完結となったことに寂しさも感じますが、素晴らしい作品として終わりを迎えているので、心から読んで良かったと思える最終巻でした！