群青にサイレン、4巻 感想
※ネタバレ注意です※
ピッチャーを諦めることは出来ない中でも、キャッチャーの魅力に少しずつ気づき始めてるんじゃないか――――
そう思えてきた前巻でしたから、もしかしたら このまま・・・なんて期待を持ちつつ読んでいた最新4巻。
しかし、小学生の頃から空に劣等感を抱いていた修二の心は、そんなに簡単には前へと進めないのですね・・・。
キャッチャーになるということは、ピッチャーを支えるということ、空を支えるということ。
そこに個人的感情というものは、普通に考えれば「好き」という要素が必要だと思います。
しかし修二の感情は、監督や角々谷の優しい言葉でも治らないほど、空を「嫌い」という感情で支配されていました。
それでも、これしかない と練習を続ける修二。
玉井くんは そんな修二の気持ちを分かっているようで、半分も分かっていなかったんだなぁ・・・と思います。
ピッチャーに選ばれなかった苦しみが、キャッチャーを諦めた玉井くんには すごく良く分かって、修二に共感していたのですね。
でもポジションを奪った相手を憎く思う気持ちは玉井くんにはなかったことで、そこからは想像するしかなくて、さらに昔からの修二の劣等感まで重なったら、玉井くんに理解できなくて当然でしょう・・・。
修二も、誰かに理解して貰おうだなんて考えてないのですよね。
自分でも怖いくらいに、空のことが大嫌い――――
ピッチャーの座を奪われたことは関係ないと修二は言いますが、それが本当なら 修二の心は誰が何と言ったって、何をしたって「嫌い」という感情から抜け出せることはないと思います。
修二が発した拒絶の言葉を密かに聞いてしまった空・・・、そして監督の「キャッチャーやめるか?」という修二への問いかけ。
バッテリー最大のピンチとは このことだったのですね・・・!
空が修二に対して心を閉ざすようになったのは当然のことですが、主人公タイプの少年だと思っていた空が これほど怒りを溜め込むことは少し意外に思いました。
この作品で「主人公タイプ」なんて言葉で表現できるキャラはいないのですね、空の人間味を感じることができた気がします。
修二に対して空が心を閉ざし、修二が空の異変に気づいて戸惑うという、これまでと反対の展開。
とはいえ険悪になっていくことを(別にいいさ)と思うしかない修二ですから、これまで以上にバラバラなバッテリーに・・・。
角々谷が2人が ますます険悪になった理由に気づいたようですが、それを修二に伝えたりはしないのでしょうか?
頑なになってしまった空の修二を疑う気持ちは、修二が空の「目指す自分」を理解する必要があるのだと思いますが、空も過去の罪悪感というものを抱えていたのですね・・・。
修二は知らない野球クラブで起こっていた真実を、今さら空が修二に告げたところで修二の心が晴れるだなんて思いませんが、空にとって修二と過ごした子供の頃の記憶が「目指す自分」に繋がっているのだと思います。
ここから空が どう変化していくのかが気になる中、修二は父のビデオを借りて あることに気づいていました。
それは父のプレイと雰囲気が、丈陽の守屋と似ているということなのでしょうか??
守屋のもとへと訪ねた修二が「ピッチャーと仲が悪くても、バッテリーは組めるんでしょうか・・・?」と訪ねたところで終わった4巻。
何という言葉が修二に返ってくるのか、修二はキャッチャーとして空と向かい合うことを決めるのか、そして修二と空のバッテリーは どうなるのか。
5巻も とても気になります!発売は4月とのことで、少し早いですね?しかし待ち遠しく感じてしまいます!