おちくぼ、2巻 感想
※ネタバレ注意です※
「おちくぼ」は、平成のシンデレラストーリーと言われる落窪物語を漫画化したものだそうです。
2巻は小さなときに母をなくし継母の下で虐げられて暮らしているおちくぼの下に、おちくぼの腹心の女房あこきの彼氏の上司が夜這いに来た・・・その次の朝から始まります。
男の夜這いを手引きしたのは自分だと、おちくぼに思われているのではないかと恐れるあこき。
一方夜這いをかけた男、藤原道頼は超ご機嫌で帰っていきます。
最速で後朝の文(一夜を共にした後男性から贈られる文で早いほど良いとされている)も届きました。
恐る恐る文を携え、おちくぼの元へ。
あこきの事は疑っていなかったものの、心ここにあらずのおちくぼ。
話を聞き出してみるとただただ一晩話をしていただけ・・・。
この道頼、かなりのイケメンモテ男。
恋の駆け引きもお手の物。
女性はみな美しい衣装に身を包み、自分が声をかければ最初は嫌と言っても最後は落ちる、
でもおちくぼは、みすぼらしい衣装に身を包み道頼の事を怯え拒む・・・。
そんな姫に初めての恋心を抱いたようです。
一方おちくぼは、一晩一緒にいたものの相手の顔も見ていません。
ましてや素晴らしい衣装に身を包み、都で人気の男が自分の所に通ってくるなんて本気のはずがないと超ネガティブ思考。
それでも今日も道頼を迎えるために、てきぱきと準備を進めるあこきの姿をみて、道頼を迎える覚悟をします。
まあ道頼の顔を見てちゃんとお断りするという大変低い目標を達成するためですが・・・。
さて二日目の夜、道頼がやってきました。
今日も手を出すつもりはなく、ただただおちくぼの興味のありそうな話をする道頼。
怖がってばかりだったおちくぼからも、笑顔が見られます。
もちろんそんな姿に道頼は胸キュン!
そして一夜が明けました。
和やかに話す二人を見て、これは脈ありかも?と期待するあこきですが、道頼が素敵であれば素敵であるほど自分は釣り合わないと、やっぱり超ネガティブ思考。
ですがそれも仕方ありません、小さなときからずっといじめられてきたのですから・・・。
道頼との夢のような時間も、結婚して幸せになるという夢も、おちくぼにとっては過ぎた夢としか思うことができないのです。
そして三日目。
結婚の形として、男は女の下に三日間通い続けるという習わしがありました。
でも外は雨、それも土砂降り。
一度は行くのをやめかけた道頼ですが、あこきにせかされて書いたおちくぼからの文を見て胸キュン!
道頼は歩いておちくぼの元に向かうことを決心します。
おちくぼは、雨で道頼が来ないことにほっとする反面、一所懸命準備をしてくれたあこきに申し訳ないような複雑な気持ちで雨を眺めています。
そしてそこに雨にぬれ、道でからまれ牛のふんの上にしりもちをつき、見るも無残な道頼が現れるのです。
雨が降れば車に乗ればいい、連絡がほしければ電話やメールがある・・・。
そんな現代には考えられないこの逢瀬。
でもそうやって苦難を乗り越えるからこそ燃え上がるんでしょうね。
とってもピュアなおちくぼと、そのおちくぼを思う道頼の姿を見て、あこきの立場になってなんとか二人にはうまくいってほしいと思いました。
まあ、そんなどろどろの姿で来られてもちょっと困りますが・・・(笑)
でもそんな汚れや匂いにも負けない絆がきっとあるんでしょうね。
二人の今後が楽しみです。