Melody(メロディ) 12 月号 お伽もよう綾にしき ふたたび、27話 感想
※ネタバレ注意です※
心優しく平和に暮らしていた千儒王の過去の思い出から今回は始まります。
お公家様の亡くなった息子の代わりに、とても愛されて過ごしていた時間があったからこそ、千儒王は静かにしていたのですね。
大狐の物の怪だったのに、この幸せな時間が彼の中でとても大切なものになっていたことがよく分かります。
それをぶち壊したのが人間の方なのだから、怒った千儒王に襲われてもしょうがないのでは、と思ってしまいました。
勝手に千儒王のお屋敷を焼いておいて、そしてその中にいた千儒王以外の物の怪たちもばらまいてしまって、それで被害が増えたと困っているのも、どうしようもない話です。
千儒王の屋敷にいた、たくさんの物の怪と一緒になって怒り狂っている様は、逆に悲しく見えてしまいました。
ただ、公家や武士、または庶民などの区別なく都にいる人みんなに襲いかかっていては、やはり人の方も封じようと攻撃せざるを得ないですし、そうなるとまた怒りを買って、と、どんどん悪い方向にしかなりませんよね。
一番最初の穏やかに暮らしていた千儒王がこんなになってしまうなんて、本当に悲しすぎます。
さてそんな中、先日千儒王と対等に話したお坊さん・順恵に彼が都で暴れている話が伝わります。
千儒王を封じ込めてほしいという、話の途中に、竹の中で光っている節を見つけて、順恵は千儒王をその中に封じ込めることを思いつきます。
竹が光っているなんて、まるでかぐや姫みたいですね。
そして順恵は見事に、千儒王をその光る竹で作った笛に封じ込めることに成功しました。
本当の名前が分かっていたことと、彼の大切な記憶を知っていたこと、そして千儒王の悲しみがわかるからこそ、彼をうまく封じ込めることができたのかもれませんね。
順恵が笛に封じ込めて、懐に入れて旅をしていく間、そして人から人へ受け継がれていく間に、千儒王はゆっくりと癒されていき、そしてすずに出会ったのだと考えると、彼の気持ちが人に寄り添えるようになって本当に良かったと思いました。
今回はすずも新九郎も出てこない、千儒王の昔話でした。
次回は新九郎たちの方の話に戻るのでしょうか?
次回もとても気になります!