※ネタバレ注意です※
ついに最終巻、恋人になれた双葉と洸の日常が繰り広げられます。
と、いっても、2人の関係性は友達時代とほとんど変わってない印象…
11巻〜12巻で見せた洸の双葉への熱いベクトルが恋人になれた途端に通常モードになってしまったような感じです。
そこは双葉も感じているようで、「もっと私に対してのめり込んでほしい」と頭の中では思っています。
双葉の気持ち、分かります。
お互い遠回りして、傷つけちゃった人もいて、それでも素直に向き合ったのだから、もっとこう、熱くなってよ!と思いますよね。
洸が照れ屋というより、ただのテンション低め・恋愛を面倒がるイマドキ男子に見えちゃいます。
人前ならいざ知らず、2人きりで洸の部屋で勉強してるときくらいもっとデレてもいいのではー!とこちらも勝手に期待しちゃいます。
私は双葉にグイグイいってた12巻の洸が好きだったなぁと…(笑)
まぁ、こんなテンションがニュートラルな洸が、自分の飼っている猫の名前を双葉や小湊くんの前ではしらばっくれていて、実は“よしおかくん”と名付けていたあたり、洸の可愛らしさが見えるのですが。
個人的には少女漫画のヒーローに可愛さはいらなくて、ただただカッコ良さを求めたいのですが、時代が違うのかもしれません。
でも、洸がキスの後に「双葉」と名前呼びを突然始めたのはキュンとしました。
「吉岡だと猫とどっち呼んでるか分からないから」とかなんとか言いながらキメるとこキメる洸、素敵です。
こういう、一つひとつ距離が縮まっていくような爽やかな恋愛いいですね〜。
その後最終巻ということもあって、小湊くんと脩子も晴れて恋人になり、田中先生は学校を辞めてアメリカに勉強に行くなど、それぞれの展開があります。
最終回は洸が双葉に内緒で姓を田中に戻す、という展開です。
元々“田中くん”と出逢って恋心を抱いた双葉、というのが物語の始まりだったので、最終回で田中に戻ったのはなんか上手に計算されたオチどころですよね。
さすが咲坂先生。
でも、いま双葉の目の前にいる洸は、中学生の頃の田中くんでもなくて、再会したばかりの洸でもなくて、双葉いわく「最新の洸だね!」
確かに、親の離婚も母の死も家族への葛藤や成海さんへの接し方・双葉への想いもも全てすべて乗り越えた洸は大人の階段を一歩登った洸なのでしょうね。
こうしてみると主人公は洸なの?洸の屈折と再生の物語なの?ってなりますけど、そういう、揺らぎの10代の男の子を丁寧に描きたかったのかな、と考えれば納得の全13巻です。
前作に比べてしまうとキュンポイントが少ないのは、洸の低めのテンションの性格のせいだなぁとは思うのですが、それでも最後は安定のハッピーエンドです。
私のハイライトは12巻ですが、それでも最後まできちんと見る価値のある作品だと思います。